2023年7月1日
粟野:特に印象に残った講義を教えてください。
受講生:まず、「学び」とは何かを教えていただいた宮野公樹先生の導入ワークショップです。「なぜ」ということを考える、問いを立てる、問題は何かを考えることが必要だという言葉が印象に残っています。知識を得るだけではだめだということです。
それを前提として、上原麻有子先生の西田哲学の講義、そして、橋本幸士先生の『宇宙を支配する数式』の講義が心に残りました。橋本先生が話してくれた、「理学生のものの考え方」にすごく興味があったので質問したところ、先生の答えに私がいつも悩んでいたものに対する答があったんです。いわゆる科学と哲学を、どこでどう使うことができるのかを見つけられたことが、私は一番嬉しかったです。言い換えれば、サイエンスとアートの関係ですね。科学的な考え方と、コミュニケーションを含めたアート的な要素、その両方をどう理解するか。上原先生の講義にあった「行為的直感」、理性的に分析する前に感じる感性的な要素がアートであって、その後、それは一体なぜ起こるのかと分析するところが理性、科学になる。その使い分けが重要で、我々は近代から現代にかけて理性的に考えることが多いのですが、やはり感性的な要素、共感的な要素がこれから大事になるんじゃないかなと思います。その切り替えをどう考えたらいいかというノウハウを、ELPで見つけることができました。
粟野:ELPのプログラム全体に対しては、どのようなご感想をお持ちでしょうか。
受講生:私はすごく満足しています。自然科学、社会科学、人文科学と、真ん中に複雑系、基本の部分には芸術を入れていただいて、プログラムの設計の仕方が、素晴らしくいいと思いますね。京都大学が先に進んでいて、日本では他にあんまりないんじゃないかなと思います。
構成もいいですね。講義冒頭のスピーチで各自の意見を共有する。それを受けて、先生が講義をしてくれる。グループワークでは仲間の意見を聞くと共に、自分自身の意見をもう一度再確認できる。全体ディスカッションでは皆で発表して、先生がフォローしてくださる。そして一番最後にあるのがリフレクション。その日の内容を振り返ることができる。全てに意味があり、すごく価値のある時間だと思いました。
次の週の木曜日までにちゃんとレポートを書くということも大切です。最初は大変でしたが、自分が何を理解できたのか、今後何を勉強すべきなのをイメージできる、そんな時間になっています。修了生がモデレーターとして講義を進行するというシステムもよかったです。
粟野:最後に、これから参加される方へのメッセージをお願いします。
受講生:私個人は、今回、自腹を切ってきたことがすごく価値があったと思います。色々な企業の方や年齢の方、 勉強の得意な方、苦手な方もいらっしゃると思いますが、自分の学びへの強い意欲と熱意を向上させることができる場所だと思います。だから、プログラムが終わって終わりではなく、次に自分の人生あるいは仕事をどう考えたらいいかを模索する場にもなる。人生におけるホップ、ステップ、ジャンプの場になると思いますので、是非ともELPにチャレンジしてみてください。あなたの世界が変わると思います。
粟野:どうありがとうございました。