台所から現代史を考える
「ススと煙の台所」から「電気とガスの台所」へ

2022.2.4.Fri. 16:30-18:00

京都大学人文科学研究所 准教授

藤原辰史

講義の概要と目的

この講義では、庶民の台所から歴史を眺めたとき、「戦争と革命の20世紀」はどのように捉え直されるのかについて考えたい。20世紀の現象、二つの大戦も、ナチズムやスターリニズム、あるいはマオイズムも、食という観点抜きに語ることはできない。普段の食事は当たり前すぎて歴史の史料に残りにくいが、それを台所の設計図やレシピ、あるいは、家政学の雑誌から再構成してみたい。最終的には、歴史を、統治者の目線だけではなく、庶民や科学者などの目線を借りて複眼的に眺める見方を見つけられればと思う。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

たとえば、第一次世界大戦のあとのヨーロッパ諸国で起こった革命が、飢餓をもたらした国家への不信から生まれたように、食をめぐる社会史を学ぶことは、歴史を動かす民衆の駆動力を捉えることである。現在に視線を戻してみれば、日本だけで600万トンのフードロスや全世界で8億を超える飢餓人口の解決に向けて、歴史的な観点から貢献できるかもしれない。それらの問題を単なる現代社会システムのノイズとみなさない、長期的かつ柔軟な歴史観は、国連発の言葉とは異なった深みを持って、社会変革の思考を鍛えるだろう。

講師プロフィール

1976年生まれ。歴史学者。研究テーマは食と農の現代史。京都大学人文科学研究所准教授。主な著書として『決定版 ナチスのキッチン――「食べること」の環境史』(共和国、2016、第1回河合隼雄学芸賞)、『給食の歴史』(岩波書店、2019、第10回辻静雄食文化賞)、『分解の哲学──腐敗と発酵をめぐる思考』(青土社、2019、第41回サントリー学芸賞)、近著に『縁食論――孤食と共食のあいだ』(ミシマ社、2020)、『農の原理の史的研究――「農学栄えて農業亡ぶ」再考』(創元社、2021)。2019年、第15回日本学術振興会賞。

Day12022.2.4 Fri.
人類にとっての食

Day22022.2.5 Sat.
食の安全保障 食と農のテクノロジー1

Day32022.2.12 Sat.
食と農のテクノロジー2

Day42022.2.13 Sun.
食と農の未来

Day52022.4.9 Sat.

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