農業・食料のグローバルガバナンス
持続可能な食農システムへの転換をめぐる世界の動向

2022.2.5.Sat. 9:30-12:10

京都⼤学⼤学院経済学研究科 教授

久野秀⼆

講義の概要と目的

私たちの「食料保障」と「豊かな食生活」を支えてきたかにみえる農業と食料の工業化・グローバル化は、実際には世界の食料不安(飢餓と飽食の併存)を解決することなく、むしろ食の社会的・栄養的・環境的な質の劣化をもたらしてきた。現行の食農システムは気候変動問題、生物多様性の喪失、農村社会経済の疲弊などの影響を受けるだけでなく、むしろその要因ともなっている。本講義では、世界の食料保障(食料不安)の実態、その背景にあるグローバルな食農システム/食農ガバナンスの構造的矛盾を明らかにし、その持続可能な転換の方向性とあり方をめぐる国際社会の議論と政策動向を紹介する。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

本講義が依拠する政治経済学/社会学をはじめとする批判的社会科学の役割は、多様で複雑な社会の構造と動態を分析し、そこに不可避的に内在する多様な価値観や複雑な利害関係の存在を明らかにすることにある。そして、地球環境問題や食料問題、栄養問題などの社会的構築性を踏まえ、それらに技術的な解決策を無媒介(脱政治的)に提示するのではなく、社会的に解決するための糸口と方向性(技術の開発と適用のあり方=ガバナンスを含め)を示し、社会的な議論を喚起することにある。それはバイオテクノロジーやフードテック、スマート農業などの可能性を必ずしも否定するものではないが、その背景・過程・影響における社会関係性に注意を促すことを意図している。

講師プロフィール

京都大学大学院経済学研究科博士後期課程を中退、北海道大学大学院農学研究科助手、ワーヘニンゲン大学客員研究員、京都大学大学院経済学研究科准教授を経て、2010年より現職。博士(農学)。専門は農業・食料の国際政治経済学および社会学、とくにグローバル食農ガバナンス研究、多国籍アグリビジネス研究、市民的食農システム研究などに従事。経済学研究科では大学院国際プログラム「East Asia Sustainable Economic Development Studies」の主任を務め、自らもこれまで世界20カ国以上から大学院生・研究生・研究員を受け入れてきた。国際性と学際性と批判性をモットーに研究指導している。

Day12022.2.4 Fri.
人類にとっての食

Day22022.2.5 Sat.
食の安全保障 食と農のテクノロジー1

Day32022.2.12 Sat.
食と農のテクノロジー2

Day42022.2.13 Sun.
食と農の未来

Day52022.4.9 Sat.

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