持続可能なフードシステムと消費者行動
消費行動・経営行動の向かうところ

2022.2.13.Sun. 9:30-10:30

京都⼤学⼤学院農学研究科⽣物資源経済学専攻 講師

⻤頭弥⽣

講義の概要と目的

SDGsへの社会的関心を背景に、日本においても「倫理的消費」の概念が普及し、倫理的属性をもつ食品が浸透しつつあります。しかしながら、日常的な食品購買意思決定の多くは、様々な商品とプロモーションに囲まれた環境下で行われます。経済性や栄養、安全性、美味しさ、公正さ、環境保全、地域農業支援などが考慮される可能性がありますが、現実には人間の認知能力の限界ゆえ、そのうちの一部の要因のみを用いた簡便な情報処理がなされます。こうした日常的な場面において、自己にとってのベネフィット/リスクにかかる要因とともに、社会全体のベネフィット/リスクにかかる要因は、どのように考慮されうるのでしょうか。講義では、消費者行動・心理と、その知見を踏まえた事業者の社会志向マーケティングという側面から、持続可能なフードシステム構築に向けた可能性と課題について考えます。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

とはいえ、社会経済的格差が健康格差にむすびつく問題が顕在化している現在、経済性と健康を両立させるような食品選択をいかに促すかということ自体が、まず重要な課題です。また、日々の食品購買行動は習慣化していることが多く、意識的に変えることは至難の業です。かくいう私自身も、社会的利益に資する行動ができているかというと、折に触れて立ち止まって考えるという以外に、あまり胸を張れることはありません。 持続可能なフードシステムに資する消費行動を促すことは、社会経済的にみても、行動科学の面からみても、一朝一夕とはいかない課題です。だからこそ、人々の価値体系や心理的側面に深く切り込んで分析し議論を行い、取り組みの方策を考えることが重要になると考えます。

講師プロフィール

愛知県生まれ。2005年京都大学総合人間学部国際文化学科卒業。2011年京都大学大学院農学研究科博士後期課程修了、博士(農学)の学位取得。京都大学大学院農学研究科寄附講座「食と農の安全・倫理論」特定助教、研究員および同志社大学商学部助教を経て、2019年より現職。 農産物・食品の生産から消費までのフードシステムの各主体の認知や意思決定、行動に焦点を合わせた研究をおこなっています。地域産品の「真正性」や「品質」の評価の問題を扱った調査・研究に取り組んだほか、消費者の食品選択行動や風評行動の背景にあるリスク認知・態度について調査・分析し、リスクコミュニケーションのあり方について検討してきました。最近は、持続可能なフードシステムの実現を念頭におき、生産段階、流通段階、消費段階それぞれにおける組織・個人の意思決定と、そこでの社会性に対するアプローチを進めています。

Day12022.2.4 Fri.
人類にとっての食

Day22022.2.5 Sat.
食の安全保障 食と農のテクノロジー1

Day32022.2.12 Sat.
食と農のテクノロジー2

Day42022.2.13 Sun.
食と農の未来

Day52022.4.9 Sat.

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