発酵醸造と食と腸内細菌
微生物と食の関係性から未来の食を考える

2022.2.5.Sat. 15:00-16:30

京都⼤学⼤学院農学研究科応⽤⽣命科学専攻 教授

小川順

講義の概要と目的

発酵醸造に代表されるように、食品産業における微生物利用の歴史は古い。最近、食品の健康機能への関心が高まるにつれ、微生物の機能をより積極的に機能性食品開発に応用する動きが活発である。また、微生物酵素を食の機能性向上に応用する機運もある。さらには、微生物菌体そのものを活用するプロバイオティクスの開発も、腸内細菌が健康に及ばす影響が解明されるにともない盛んになってきている。食と微生物の相互作用を介する食機能の多様化に加えて、作物生産における微生物機能の利用も、資源循環の観点から注目を集めている。これらに関連した我々の取り組みを紹介するとともに、未来の食の創造に、微生物がいかに貢献するかを議論したい。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

人類が目指す持続的社会は、健やかな物質循環と、授受関係にある生物間の健全な相互作用が保たれている社会と考えられる。その実現に、地球上に広く存在し多様な物質循環を担う微生物の役割はとても大きい。食にまつわる営みは、地球における物質循環の一部を成している。人類は、微生物の存在を認識する以前から、その物質変換機能を発酵醸造の技術として活用してきた。微生物の物質転換機能が科学的に解明される現代、微生物が作り出す分子の多様性によって、食品の健康機能や土壌の肥沃さがもたらされることが理解されてきている。微生物に学んでこそ、ヒト、社会、そして地球の健康が実現され、持続的循環型社会が創出されると考える。

講師プロフィール

■略歴
1967年滋賀県生まれ徳島県育ち。1990年京都大学農学部農芸化学科卒業。1995年同農学研究科農芸化学専攻博士後期課程修了(博士(農学))。1995年京都大学農学部・助手。2006~2007年フランス国立農業研究所客員研究員。2008年京都大学微生物科学寄附研究部門・特定教授。2009年より京都大学大学院農学研究科・教授(応用生命科学専攻・発酵生理及び醸造学分野)。
■研究テーマと抱負
微生物に多様な機能を探索し、それを社会ために役立てる研究をしたい。
■趣味
クラシック音楽(オーボエ演奏・指揮)、酒遊食楽
■受賞
2004年農芸化学奨励賞。2006年日本農学進歩賞。2018年食品免疫学会賞2020年Ching Hou Biotechnology Award(American Oil Chemists’Society)。2021年Chevreul Medal Award 2021 (French Society for the Study of Lipids)など

Day12022.2.4 Fri.
人類にとっての食

Day22022.2.5 Sat.
食の安全保障 食と農のテクノロジー1

Day32022.2.12 Sat.
食と農のテクノロジー2

Day42022.2.13 Sun.
食と農の未来

Day52022.4.9 Sat.

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