ベジタリアニズムは世界を救ってきたか?
日本とインドの食と職の歴史に学ぶ

2022.2.4.Fri. 14:40-16:10

東京大学大学院農学生命科学研究科 准教授

戸石七生

講義の概要と目的

現代の欧米発祥のベジタリアニズムは、環境保護活動の一環として認識されている。その一方で、畜産や漁業は環境破壊の原因として大きな批判にさらされている。だが、本当に菜食主義は環境保護や動物愛護、そしてより良い社会の構築へ繋がるのだろうか。
本講義では、日本とインドというアジアの国の歴史的経験を通じて、菜食主義のメリットとデメリットを議論する。
中世以降、日本とインドでは社会的地位の高い職業は菜食主義的生活を送っていた。換言すれば、社会は「食と職」によって分断されていた。この分断は、両国の社会に未だ癒えない傷跡を残している。また、両国の菜食主義は食の安全保障にとって、大きなリスク要因であった。結果として、冷害やパンデミック時には多くの死者が出ることになった。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

本研究の特長は世界のベジタリアニズムを「何を消費するか/しないか」だけではなく、背景となる社会構造を規定する思想と農業のあり方まで掘り下げて説明することにある。それにより、精度の高い食料消費の将来予測や、ビジネス交流やインバウンド産業における深い異文化コミュニケーションが可能になる。受講生には、アジアの歴史的経験からベジタリアリニズムのメリットとデメリットを学ぶことによって、「食と農」について独自の見解を国際的に発信する力を養ってもらいたい。

講師プロフィール

広島県広島市出身。
ドイツ連邦共和国デュッセルドルフ市立ツェツィリエンギムナジウムを経て、女子学院高等学校卒業。2002年東京大学文学部卒業後、農学生命科学研究科修士課程に進学。
2007年同研究科博士課程を修了。2018年より現職。
研究テーマは一貫して「百姓の歴史」だが、農業史、農村史、家族史、環境史、食生活史と様々な切り口からアプローチする。著書に『家とむらを守った江戸時代の人びと』、『家と共同性』他。

Day12022.2.4 Fri.
人類にとっての食

Day22022.2.5 Sat.
食の安全保障 食と農のテクノロジー1

Day32022.2.12 Sat.
食と農のテクノロジー2

Day42022.2.13 Sun.
食と農の未来

Day52022.4.9 Sat.

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