人工知能

知のエンジニアリング

西田 豊明 NISHIDA Toyoaki
京都大学大学院情報学研究科 教授

講義概要

人工知能研究は、問われたことに的確に答える、様々な状況下で高度な判断をする、人と日常言語でコミュニケーションする、経験に基づいて自分の行動を改善する、膨大なデータの中からパターンを見つけるといった、人間のように知的な情報処理ができるコンピュータを実現し、さまざまな応用に適用することを目的としている。人工知能技術は、データ解析、知的パーソナルアシスタント、知能ロボット、ロボカーなど、とどまることなく加速し続ける情報通信プラットフォームに価値を付加する技術として社会の注目を集めている。他方、人工知能技術の急速な展開は、失業や人工知能システムの暴走などの社会の不安も引き起こしている。
本講義では、1956年の本格研究開始以来の人工知能研究の歴史、人工知能の原理と応用、現在および近未来の人工知能技術の動向と人間社会に与える光と影について講述し、今後の人間社会に組み込んで活用するためのビジョンを培う。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

現代は、情報通信技術の発展により、人間社会を支えるさまざまなコーポレーションの業務のデータ化・自動化が進展し、無休運転、コストダウン、高信頼化が必要な業務フローがInternet of Things(IoT)に置き換えられていくテクノロジー社会の確立期として位置づけられる。人工知能技術の進展により、従来人間しか担えなかった高度な仕事のコンピュータによる代行がどんどん進んでくると、人間に期待される役割も人々の価値観も従来とは大きく異なったものになっていく。
現代のリーダーには、人工知能に代表される最先端テクノロジーのもつ光と影をきちんと理解した上で、人工知能技術を人間社会全体に役立つよう活用し、テクノロジーとの融合によって人間社会がより良い方向に進むようにするための、共有できるビジョンの提示と実現が求められる。

講師プロフィール

経歴

1980年京都大学工学部助手、1988年京都大学工学部助教授、1993年奈良先端科学技術大学院大学教授、1999年東京大学大学院工学系研究科教授、2001年東京大学大学院情報理工学系研究科教授を経て、2004年4月京都大学大学院情報学研究科教授、現在に至る。情報学、とくに人工知能の研究教育に従事。日本学術会議連携会員(2006年~)、人工知能学会会長(2010~2011年度)、情報処理学会フェロー、電子情報通信学会フェロー、日本学術振興会学術システム研究センター主任研究員(2010~2012年度)。AI & Society誌Associate Editor、総務省「AIネットワーク社会推進会議」構成員(2016年~)、理化学研究所・革新知能統合研究センター(AIP)・「人とAIのコミュニケーション」チームリーダー(2017年~)。

著書

『自然言語処理入門』オーム社(1988年)、『定性推論の諸相』朝倉書店(1993)、『人工知能の基礎』丸善 (1999年)、『インタラクションの理解とデザイン』岩波書店(2000年)、“Dynamic Knowledge Interaction” CRC Press(2000年 編著)、『エージェント工学』オーム社(2002年 共著)、“Conversational Informatics: An Engineering Approach” John Wiley(2007年 編著)、『社会知デザイン』オーム社(2009年 共著)、“Modelling Machine Emotions for Realizing Intelligence” Springer(2011年 編著)、“Conversational Informatics: A Data-Intensive Approach with Emphasis on Nonverbal Communication” Springer(2014年 共著)、“Data Mining for Social Robotics” Springer(2015年 共著)、“Human-Harmonized Information Technology, Volume 1” Springer(2016年 編著)、“Human-Harmonized Information Technology, Volume 2” Springer(2017年 編著)。