インターネットとセキュリティとAI

インターネットは自由。自ら作るメディア。

斉藤 康己 SAITO Yasuki
京都大学情報環境機構 教授

講義概要

インターネットの歴史(高々50年)を個人的な経験もお話しながら振り返り、インターネットの根本にある思想(オープンであること、自助(Self help)の精神、大まかな同意と動くコードによる実現、自立分散で強靭な協調システム)を理解する。その際重要な要素となるフリーソフトウェアについてもそのインターネットにおける役割を中心に考察する。その上で、最近の巨大なプレイヤー達(GoogleやFacebookやAkamaiなど)の行動の背後にインターネットの根本思想が色濃く反映していることを学ぶ。
さらに、インターネットの負の側面と捉えられがちなセキュリティに関しても事例を紹介しながら、どう付き合って行くべきかを議論する。時間が許せば、AIの歴史と第三次AIブームの虚と実についても話したい。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

日本はインターネットに案外早い段階で参加した国の一つである。またIPv6の普及などに関しては主導的な役割を果たしたこともある。しかしながら、日本の企業、政府、学校などが今現在インターネットを活用していく上で、世界の中で主導的な役割を果たしているかと問うてみると、はなはだ疑問である。なぜそうなのか?講義の中で、何度もこの問いに立ち返りつつ、議論を深めたい。
インターネットを統治するものは誰もいないが、しかし日々確実に世界中の人を繋ぎ、その上のサービスはめまぐるしい勢いで拡大し続けている。将来、国境や通貨やはたまた思想信条の違いも乗り越えて世界を一つに束ねていくだけのポテンシャルを持っている。そのことを再確認しどう活用していくのかを皆で考える。

講師プロフィール

経歴

1976年東京大学工学部計数工学科数理コース卒業。1978年英国エセックス大学計算機科学科修士卒業(日本政府給費留学生として)。1979年東京大学大学院情報工学専攻修士卒業。同年日本電信電話公社武蔵野電気通信研究所基礎研究所に入所。計算機科学、人工知能、認知科学等の研究に従事。1984年から1年間フランスINRIA客員研究員(フランス政府給費留学生として)。1986年頃NTT研究所から米国のARPAネット(後にインターネットとなる)への接続の面倒をみる。1987年文書整形システムTeXを日本語化し、jTeXとして公開(この功績により第一回ASTEMソフトウェア文化賞受賞)。その後囲碁の認知科学的研究を行い1996年に工学博士取得(東京大学)。1997年からNTT民営化後のNTTコミュニケーションズOCN事業部に移りOCNの販売支援、パッケージ作りなどに従事。2000年後半からNTTコミュニケーションズにてIPv6プロジェクトのリーダも兼務。2005年からはNTTソフトウェアに移り、各種ソフトウェア開発プロジェクトの統括マネージャー。ネットワーク運用、セキュリティサービスの開発なども手がけた。2013年6月から現職。

著書

著書として竹内郁雄編『AI奇想曲』の第4章の中の「電子図書館から情報市場へ」、翻訳として『メタマジック・ゲーム』(D.ホフスタッター著、共訳)、『リテラリーマシン ハイパーテキスト原論』(T.ネルソン著、共訳)、『アルファ碁はなぜ人間に勝てたのか』など。