人口減少下での100年後の日本を考える
地域、都市、家族のゆくえ

2025.2.8.Sat. 14:15-17:00

京都大学経済研究所 教授
経済産業研究所
ファカルティフェロー
森 知也

講義の概要と目的

日本の人口は2008年の1億2,800万人をピークに15年間減り続けており、2023年の1年間で、日本に住む日本人は86万人、移民を含めても53万人減少した。都道府県が1つずつ毎年日本から消えるペースで日本の人口は減少していることになる。2015年以降、少子化は加速していくばかりで、回復の兆しはない。また、世界的に進む人口減少の中で、今後は移民による人口代替も見込めない。この急速な人口減少を背景に、地方都市は衰退し、人口は大都市へ集中している。しかし、今後は大都市といえども、恒星の終焉のように周囲から人を集めながらも爆縮していくと予測されている。100年後のこの国は、地域は、都市は、そして家族はどのような姿になるのか、理論とデータを駆使して、私たちにいま何ができるのかを考えたい。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

日本の人口減少は極めて急速であり、直近100年のインパクトで考えれば、地球温暖化の問題と少なくとも同程度以上に緊急性が高いであろう。個人主義の先鋭化と長寿化による老後費用の増大は、増々子どもを持つ動機を消失させる。その影響は、2015年以降の急激な出生率の低下によく現れている。この未曽有の加速する人口減少の効果を、多くの国民は過小評価している。新幹線など人口に支えられた交通手段は、大都市以外では早晩立ち行かなくなり、多くの地方都市は持続可能性を失い、日本は3大都市を中心としたコンパクトな地域経済に縮小していくだろう。本研究は、このような人口減少が、どの程度、都市を縮小・消滅させ、地域経済を縮小していくのか、定量的に示す初めての研究である。全国で総花的に進められる地方創生やコンパクトシティ政策、新幹線の延伸やリニア新幹線の敷設、官民で進められる都心の高層化を伴う再開発、欧州の足元にも及ばない少子化対策など、縮小していく経済と向き合わない政策や民間事業のありかたを、根本から見直すきっかけになることが期待される。

講師プロフィール

経歴
岐阜大学工学部土木工学科卒業、ペンシルバニア大学大学院地域科学研究科博士課程修了(Ph.D.)。1996年京都大学経済研究所准教授、2009年より京都大学経済研究所教授、2011年より独立行政法人経済産業研究所ファカルティフェロー、2012年より東京大学空間情報科学研究センター客員教授、2020年より麗沢大学都市不動産科学研究センター客員教授、2023年より統計数理研究所客員教授、現在に至る。専門は都市経済学や空間経済学と呼ばれる分野で、都市を始めとする経済集積の形成について、そのメカニズムを説明する理論および実証研究を行っている。

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