これからの少子化対策
「男性全体の働き方改革」による「生産性の向上」と「結婚・出産希望の実現」

2025.2.14.Fri. 9:15-12:00

京都大学大学院人間・
環境学研究科
教授 柴田悠

講義の概要と目的

いまや先進諸国では、どの国でも出生率が下がってきています。移民による影響を除いた、欧米諸国の2023年の出生率は、高い諸国(フランス・アメリカ・北欧など)で1.4~1.5程度であり、日本はそれよりもさらに0.2~0.3ほど低い状況にあります(2023年1.20)。この差は、「男性の長時間労働」、それに起因する「生産性や実質賃金の低迷」、そして「高い育児負担」の3要因(に起因する未婚化・少産化)で説明できます。以上のことを、国内外の様々なエビデンスにより説明するとともに、これからの日本で、「若者の結婚と出産の希望が実現しやすい環境」を整えていくために必要な対策(少子化対策)として、「男性全体の働き方改革」「若者の賃上げ」「育児負担の軽減」について解説します。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

私は、少子化対策を含むさまざまな政策の効果を、定量的に分析しています(現在はとくに「0~2歳時保育が子どもの将来に与える長期効果」について研究しています)。このような政策効果の研究が進めば、少子高齢化の課題先進国である現代日本で、政策の費用対効果を高めることができ、日本社会の(人材面や財政面などでの)持続可能性を高めていくことができるでしょう。さらに、その経験を国外にも共有していくことは、日本につづいてこれから少子高齢化を経験していく他国にとっても、政策決定の際の参考になることでしょう。それにより、人類社会全体における政策の費用対効果の向上や、人類社会そのものの持続可能性の向上にも、貢献することができればと考えています。

講師プロフィール

経歴
1978年、東京都生まれ。京都大学総合人間学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。専門社会調査士。専門は社会学、社会保障論、幸福研究、社会変動論。同志社大学政策学部任期付准教授、立命館大学産業社会学部准教授、京都大学大学院人間・環境学研究科准教授を経て、2023年度より現職。著書に『子育て支援が日本を救う――政策効果の統計分析』(勁草書房、2016年、社会政策学会学会賞受賞)、『子育て支援と経済成長』(朝日新書、2017年)、分担執筆書に『Labor Markets, Gender and Social Stratification in East Asia』(Brill、2015年)など多数。衆議院予算委員会・特別委員会・文部科学委員会、内閣官房会議、内閣府会議、こども家庭庁会議、経済産業省会議、文部科学省会議などで意見陳述。日本経済新聞「経済教室」「やさしい経済学」などに寄稿。NHK「NHKスペシャル」「日曜討論」「視点・論点」などに出演。

Day12025.2.7 Fri.
人口減少社会

Day22025.2.8 Sat.
人口減少時代の都市デザイン、地方創生

Day32025.2.14 Fri.
少子化と超高齢化

Day42025.2.15 Sat.
多文化共生、日本の目指す未来は?

お申し込みはこちら

お申し込みは下記ページのエントリーフォームよりお願いいたします。

お申し込みはこちら

初めての方でもお気軽にお問い合わせください

お問い合わせはこちら

Tel. 075-753-5158

受付時間:平日 9:00〜17:00



Mail. info@elp.kyoto-u.ac.jp