移民社会と多文化共生のかたち
いかなる「共生」を目指すのか

2025.2.15.Sat. 9:15-12:00

東京大学大学院
人文社会系研究科
准教授 髙谷幸

講義の概要と目的

現代世界において国境を越えて移動する人びとの存在は珍しいものではなくなっている。日本でも、人口減少・高齢化という背景の下、政府は外国人労働者の受け入れを拡大し、現実にも移民の数はますます増加している。一方で、多くの移民受け入れ国で、人種主義・排外主義の高まりや社会の「分断」が報告され、多様な社会的・文化的背景をもつ人びとの共存が世界的な課題となっている。本講義は、そうした移民をめぐる現代社会の状況を踏まえつつ、日本における移民受け入れと多文化共生にかんする歴史的経緯を概観する。その上で、多様な人びとが共に暮らす社会をいかに構想するのか、受講生とともに考える。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

「移民」という言葉は今日、感情的な反発を引き起こしたり、そうした反発を回避するため、この言葉の使用自体を控えるという対応を招きがちである。これに対し、本研究では、既存研究の知見にもとづき、「移民」をめぐる複雑な現実への理解を促す。同時に、「移民」にたいする反発や忌避の背後にあると想定される「社会」のアクターとしての自覚をより肯定的な方向に差し向ける可能性について追究してみたい。すなわち本講義を、「移民」現象への着目を通じて、社会の複雑さを理解し、その上で自らもアクターとして社会に関与する契機を考える機会としたい。

講師プロフィール

経歴
奈良県出身、神戸大学法学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科修了。博士(人間・環境学)。岡山大学、大阪大学准教授などを経て、2021年より現職。専門は社会学・移民研究。日本に暮らす移民のメンバーシップ、帰属と編入のあり方、移民をめぐる境界作用、移民政策などに関心を抱いている。著書『多文化共生の実験室:大阪から考える』(青弓社・編著、2022年)、『移民政策とは何か:日本の現実から考える』(人文書院・編著、2019年)、『追放と抵抗のポリティクス:戦後日本の境界と非正規移民』(ナカニシヤ出版、2017年)など。

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