生命の今とキリスト教思想

現代の生命論を再考する

芦名 定道 ASHINA Sadamichi
関西学院大学神学部 教授

講義概要

1970年代以降、現代世界は、生命をめぐり新たな諸問題に直面している。日本の大学で、生命倫理あるいは環境倫理というテーマの授業が行われるようになったことはこの事情を反映している。生命科学の進展は人間の誕生から死までのさまざまな場面でそれまで人類が経験しなかった可能性(たとえば、脳死と臓器移植)をもたらし、それを社会的にルール化するために生命倫理の議論が開始された。ちょうどその頃、科学技術を基盤とした現代文明が引き起こした環境破壊は大きな問題となって顕在化した。それは環境倫理の対応を要求し、こうして生命は現代文明の最大の問題となった。本講義では、キリスト教思想の視点から問題状況を分析し、そこからいかなる展望が開けるかについて考察する。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

この講座では、生命をめぐる現代のキリスト教思想の議論を紹介しつつ、生命について再考することを試みてみたい。生命論理と環境倫理がさまざまな議論を闘わせている現代から、いかなる未来が展望できるだろうか。これはキリスト教思想の用語を用いるならば、終末の問いに他ならない。世界のキリスト教思想界では、この間、生命について多くの議論がなされてきた。その議論を参照することは、日本において生命の問題を根本的に再考し、新しい生命論を構築するために、重要な作業になるだろう。

講師プロフィール

経歴

1956年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(キリスト教学)単位取得退学。京都大学博士(文学)。京都大学大学院文学研究科助教授(キリスト教学担当)。現在は、関西学院大学神学部教授。

著書

『自然神学再考 近代世界とキリスト教』(晃洋書房 2007年)『近代日本とキリスト教思想の可能性 二つの地平が交わるところにて』(三恵社 2016年)など。