おいしさの構造 | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

おいしさの構造

おいしさの構成要素の解明と数式化の試み

伏木 亨 FUSHIKI Toru
甲子園大学 副学長・教授
京都大学 名誉教授

講義概要

「蓼食う虫も好き好き」などといわれるように、同じ食べ物でも好き嫌いが分かれる。おいしさは個人的で曖昧な感覚として、科学では扱われて来なかった。おいしさは、食べ物の中にあるのではなくて、食べ物とそれを食べる人間との関係の中だけに存在するきわめて脆弱でバーチャルな感覚と捉えることができる。
おいしさをいくつかの構成要素に分けて考えるとそれぞれに科学的な普遍性が見出される。本講義では、食のおいしさに焦点を絞り、おいしさを構成する基本要素を探る。さらに、それらを統合する数式を探ることを試みる。おいしさだけではなく、科学になじまないと言われてきた曖昧な感覚が客観的に評価できる可能性を感じていただければ幸いである。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

おいしさは、生活の質を高め人間の究極の幸福に寄与する問題として食に関わるすべての分野が関心を寄せている。食のおいしさを客観的に評価できれば、食品開発や料理、食の情報に関わる人々にとって重要なツールとなる。
食嗜好のみならず、人間の嗜好には共通の構造が潜む可能性がある。例えば、文豪スタンダールは著書の恋愛論の中で、男女の恋愛行動を、情熱的恋愛、(当時パリで流行の)趣味的恋愛、虚栄の恋愛、肉体的恋愛に4分類している。これらは、食嗜好の構成要素と非常によく対応する。おいしさという統合的な感覚を構成要素に分解して、その統合の様式を探る試みは、人間の複雑で曖昧に見える諸感覚を科学の場に引き出すモデルとなることが期待できる。

講師プロフィール

経歴

1975年京都大学農学部卒業。1980年京都大学大学院博士課程修了。農学博士。1994年より京都大学農学研究科食品生物科学専攻教授。この間、1985年から1986年まで、米国イーストカロライナ大学医学部客員研究員として運動時の筋肉糖代謝の研究に従事。2009年より京都大学白眉センター長(3年間)。2015年京都大学名誉教授。同年、龍谷大学農学部食品栄養学科教授、龍谷大学食の嗜好研究センター長。2018年より新設の同大学農学研究科長。研究テーマは、油脂の口腔内受容機構、油脂やダシのおいしさのメカニズムの解明、おいしさの客観的評価手法の開発研究。
日本栄養・食糧学会評議員、日本香辛料研究会会長、日本料理アカデミー理事、和食文化国民会議会長。2008年安藤百福賞、2009年日本栄養・食糧学会賞、2012年日本農芸化学会賞、同年飯島食品科学賞、2014年日本味と匂学会賞授賞、同年紫綬褒章受章。

著書

専門の学術論文215編の他に、『だしの神秘』朝日新書(2017年)、『味覚と嗜好のサイエンス』丸善(2008年)、『おいしさを科学する』ちくま新書(2006年)、『人間は脳で食べている』ちくま新書(2005年)、『コクと旨味の秘密』新潮文庫(2005年)、『だしとは何か』アイ・ケイコーポレーション(2012年 共著)、『日本料理大全』シュハリ・イニシアチブ、(2015年 共著)、『からだで味わう動物と情報を味わう人間』日本エッセイストクラブ編2003年版ベストエッセイ集、など。

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