宇宙を支配する数式

宇宙のすべてを解き明かす素粒子物理学、その現状と課題、超ひも理論へ。

橋本 幸士 HASHIMOTO Koji
京都大学大学院理学研究科 教授

講義概要

この宇宙、そして物質と力、は究極のところ、何からできているのでしょうか。我々人類は、素粒子物理学を用いて、この宇宙がたった一つの数式で支配されていることを突き止めました。この数式は、素粒子の標準模型(にアインシュタインの一般相対性理論を加えたもの)と呼ばれ、人類の英知の結晶です。本講座では、この数式をまず書いてみることから始め、数式のそれぞれの項の意味、そしてその意義を解説します。また、暗黒物質やニュートリノ振動現象など、数式では説明しきれない宇宙の謎についても述べます。これらを解決するのは、「素粒子が小さなひもである」という仮説「超ひも理論」なのでしょうか。まだ、宇宙を支配する数式は、完成していないのです。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

素粒子物理学が明らかにした、極微の世界を記述する量子力学、そして極大の宇宙を記述する相対性理論、これらは100年前に作られ、現在の電子機器や衛星宇宙技術などの基盤として人間の生活を支えています。役に立つまで1世紀かかる研究は、自分の人生という尺度では測れない普遍的な価値を生むものです。素粒子物理学は、世界の成り立ちを知る学問であり、現在人類が到達した最高地点の科学です。これを知った人は、世界を見る方法じたいが変わるでしょう。

講師プロフィール

経歴

理論物理学者。1973年生まれ、大阪育ち。2000年京都大学大学院理学研究科修了、理学博士。2000年サンタバーバラ理論物理学研究所研究員、2001年東京大学助手、2010年理化学研究所准主任研究員(橋本数理物理学研究室主宰)、2012年大阪大学教授などを経て、2021年より現職。専門は理論物理学、素粒子論、超ひも理論。世界各国で100以上の招待講演、現在は湯川秀樹が拓いた研究室の後任教授として教鞭を取る。日本物理学会理事。サイエンスとアートをつなぐ活動を行い、出演したパフォーミングアート作品 “Every day is a new beginning” で Art Innovation 2019国際会議にて京都大学総長賞を受賞。

著書

『Dブレーン:超弦理論の高次元物体が描く世界像』(東京大学出版会)、共著に『ディープラーニングと物理学』(講談社)など。一般向け著書に『物理学者のすごい思考法』(集英社)、『超ひも理論をパパに習ってみた』『「宇宙のすべてを支配する数式」をパパに習ってみた』(講談社)など。季刊『kotoba』にエッセイを連載中。