がんの免疫治療 | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

がんの免疫治療

がんの治療とその社会的意味

本庶 佑 HONJO Tasuku
京都大学高等研究院 特別教授

講義概要

PD-1抗体はメラノーマの治療薬として2014年6月にPMDAによって承認された。その後、10種類のがん治療薬として使われている。さらに現在、世界中では200件近くのPD-1抗体による各種がん腫治療への治験が進行中であり、次々と対象が拡大しつつある。この医学の大転換期に何を考えるべきかを議論する。まず、今後は日本の企業が次のアカデミア由来のシーズ誕生にどのように貢献するか注目される。また、もしヒトががんでも感染症でも死ななくなるとして真の幸福を得られるのか。今私たちは、どう生きるかが問われる。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

1992年PD-1と遭遇し、これが免疫のブレーキ役を担うことを見出し、2002年には動物モデルでPD-1阻害によってがん治療が可能であることを発見した。22年の歳月を経て今日、がん治療のペニシリンとも称される新しい画期的な治療法として結実した。ペニシリンに続いて発見された多くの抗生物質により人類が感染症の脅威から解放されたように、今後はがん免疫療法が改良され、がんによる死を恐れなくてなくてもすむようになるだろう。

講師プロフィール

経歴

1966年京都大学医学部卒業、1975年京都大学医学博士、1971〜1973年カーネギー研究所発生学部門客員研究員、1973〜1974年米国国立衛生研究所 国立小児保健発達研究所客員研究員、1974〜1979年東京大学医学部助手、1979〜1984年大阪大学医学部教授、1984〜2005年京都大学医学部教授、1996〜2000年京都大学大学院医学研究科長・医学部長、2002〜2004年京都大学大学院医学研究科長・医学部長、2005年〜京都大学大学院医学研究科特任教授、2006〜2017年京都大学客員教授、2006〜2012年内閣府総合科学技術会議議員、2012〜2017年静岡県公立大学法人理事長、2015年〜公益財団法人先端医療振興財団理事長、2017年〜京都大学 高等研究院特別教授。 1981年第25回野口英世記念医学賞、1982年昭和56年度朝日賞、1996年日本学士院賞恩賜賞・日本学士院賞、2000年文化功労者、2001年米国科学アカデミー外国人会員、2004年トムソン「最先端研究領域において活躍する日本の研究者」、2012年ロベルト・コッホ賞、2013年文化勲章、2014年唐奨、2014年ウィリアム・コーリー賞、2014年日本癌学会 JCA-CHAAO賞、2015年SmalleyAward、2016年京都賞、2016年慶應医学賞、2016年Fudan-Zhongzhi Science Award in Biomedicine、2017年Warren Alpert 財団賞。 抗原記憶を抗体遺伝子に刻む分子「AID」を発見し、ワクチン効果の分子生物学的原理を解明した。免疫細胞の働きを抑制する分子「PD-1」を発見し、PD-1抗体を使った新たな癌免疫療法を開発した。この治療法はすでに肺癌を含め10種類の癌で世界的に承認されている。

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