グリーン・エコノミー(GE)論

再生可能なエネルギー主導型経済への移行

ディミター ヤルナゾフ Dimiter IALNAZOV
京都大学大学院総合生存学館(思修館)教授

講義概要

近年、気候変動、資源枯渇、貧困、格差といったグローバル課題解決のために、世界中、グリーン・エコノミー(GE) が推進されるようになった。しかし、(1) GEという概念は前述のグローバル課題解決には有効ではない、また、(2) GEへの移行(以下では、「グリーン転換」とも呼ぶ)は単純なものではなく、多くの困難を伴うものである、という二つの議論が現在白熱している。単に、環境に易しい技術や商品を導入することにより「グリーン転換」ができない。各国における生産・消費様式の転換を含む大規模なシステム転換が必要ではないかという考え方が強くなってきている。
最初の一コマでは、 GEや「グリーン転換」などについて学んでもらった後、第二コマにおいて個別の国の事例(例えば、日本における「グリーン転換」)を交えたディスカッションを通じて受講生の理解が深まることを目的としている。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

前述のように、GEという概念はグローバル課題の解決に応用されている。実際、うまく行くかどうかの保証はないが、成功すれば地球規模のインパクトが期待できる。また、国民国家のレベルやグローバルなレベルで強力なアクター(OECD、UNEP、World Bank などの国際機関を含む)が「グリーン転換」を押し進めているため、こうした動きは無視できない。
CO2などの温暖化効果ガスの排出量削減という目的を例にとってみれば、化石燃料(石炭、石油、天然ガス)主導型経済から再生可能なエネルギー主導型経済 (GE)へのシフトはその目的達成に効果的であると言えよう。実際、北欧やドイツにおいては再生可能なエネルギーの導入が進み、EU全体は CO2排出量削減に成功しているようにみえる。しかし、中国によるCO2の年間排出量増はこういったEUの努力を上回っている。つまり、新興国及び発展途上国における「グリーン転換」もグローバル課題解決に不可欠であろう。しかし、新興国及び発展途上国における「グリーン転換」は、先進国にける「グリーン転換」とはまた異なる固有の問題を抱えている。

講師プロフィール

経歴

Obtained his PhD from Kanazawa University (Japan) and his MSc (Econ.) from Moscow State University “M. V. Lomonosov” (Russia). His PhD dissertation was about Japan’s postwar economic development strategy and the possibilities for its application in the former communist countries. Prof. IALNAZOV started his career as a researcher at Sofia University (Bulgaria) and worked briefly for a UNIDO-sponsored project on “green FDI”. After obtaining his PhD, he served as a Research Associate at the Graduate School of Decision Science and Technology, Tokyo Institute of Technology, and as Associate Professor at the Graduate School of Economics, Kyoto University. Since April 2013, Prof.IALNAZOV has been at the Graduate School of Advanced Integrated Studies in Human Survivability (GSAIS), Kyoto University. His most recent research topics are the “green transition” in emerging and developing countries, and the impact of EU membership on South Eastern European economies (in particular, Bulgaria and Romania).