社会・経済物理学、複雑系科学 | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

社会・経済物理学、複雑系科学

複雑系を理解すれば世界が分かる

池田 裕一 IKEDA Yuichi
京都大学大学院総合生存学館(思修館)教授

講義概要

経済や社会の様々な要因が絡み合うグローバル問題に取り組むには、複雑な社会現象を読み解くことが必須である。

特に、複数の構成要素が相互作用を通じて個別構成要素が持たない全体的な性質を発現する系は,複雑系と呼ばれる。近年、複雑系をネットワークの視点からとらえることが経済や社会の科学的な研究における大きい潮流となっている。本講義では、複雑ネットワークの静的構造および動的特性の基本を学ぶことにより、複雑系について理解を深める。

具体例として、企業間の株所有ネットワーク、マクロ経済の産業ネットワーク、国際貿易ネットワーク、電力網などを取り上げて、基本的な概念から丁寧に説明する。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

新興国の台頭を伴う経済のグローバル化を背景に、活力ある経済発展の一方で、間断のない金融・経済危機や、エネルギー・資源の有限性や環境破壊など、地球規模の複合的問題が顕在化してきた。エネルギー、環境、人口、経済などに関するグローバル問題では、社会科学と自然科学の両方の要因が複雑に絡み合っている。 しかし、今日、複数の学問、特に社会科学と自然科学を総合化する方法論が存在しないために、人類が直面するグローバル問題に対して解決策を見出すことができてない。この一点にグローバル問題の難しさが集約されている。 社会・経済物理学は、社会科学と自然科学を総合化する方法論の構築に向けた研究の最前線にあり、21世紀の新しい知的フロンティアである。

講師プロフィール

経歴

1989年九州大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。1989~1990年日本学術振興会特別研究員(東京大学原子核研究所)。1990~2011年株式会社日立製作所、2011年東京大学生産技術研究所特任准教授を経て、2012年より現職。この間、1997年カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、2009~2011年国際エネルギー機関コンサルタント。おもな研究分野は、物理学、計算科学、総合工学、エネルギー政策、電力システム解析。

著書

近著として、『パレート・ファームズ-企業の興亡とつながりの科学-』(共著)日本経済評論社(2007年)、『経済物理学』(共著)共立出版(2008年)、The 7th Applications of Physics in Financial Analysis, Journal of Economic Interaction and Coordination, Volume 5, 2010(共編、2010年)、The 7th Applications of Physics in Financial Analysis, Journal of Physics: Conference Series, Volume 221, 2010(共編,2010年)、Econophysics and companies -Statistical Life and Death in Complex Business Networks-(Cambridge University Press,共著,2010年)、『50のキーワードで読み解く経済学教室』(分担執筆)東京図書(2011年)など。この他、査読付学術論文67編、特許36件、雑誌論文4編。

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