臨床医学

高齢化社会と慢性疾患

稲垣 暢也 INAGAKI Nobuya
京都大学大学院医学研究科 教授

講義概要

わが国は4人に1人が高齢者という超高齢社会を迎え、単なる寿命の延長ではなく、健康寿命の延長が求められている。しかし一方で、糖尿病をはじめとする慢性疾患が激増し医療経済学的に深刻な問題となっている。本講義では、糖尿病を例にあげ、なぜ今日本で糖尿病が激増しているのか、日本人と欧米人ではその病態にどのような違いがあるのか、わが国の長寿を支えてきた生活が現在どのように変化しているか、健康長寿の確保に何が求められるのかについて、概説する。また、慢性疾患に対するさまざまな治療薬が開発されつつある中で、その問題点と、今後わが国において求められる先制医療についても触れてみたい。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

超高齢社会を迎えたわが国にとって、疾病構造は変化し、慢性疾患が増加している。このことは医療費や介護費用の増加につながり、すでにわが国の経済を圧迫しつつあり、社会の構造が大きな転換期にさしかかっている。
健康寿命の増加は、個々人の生活の質の向上につながるだけでなく、医療経済的負担の軽減にもつながる。
さらに、現在の医学の中心である治療医学から予防医学、そして先制医療へと展開することにより、真の健康長寿が実現できる可能性がある。

講師プロフィール

経歴

1984年京都大学医学部医学科卒業。1992年京都大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)後、千葉大学医学部附属高次機能制御研究センター 助手。同 講師、助教授を経て1997年秋田大学医学部生理学第一講座 教授。2004年秋田大学バイオサイエンス教育・研究センター長。2005年より京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学 教授(2013年より内科再編により、糖尿病・内分泌・栄養内科学と改称)現在に至る。2010年より京都府立医科大学ならびに盛岡大学 客員教授、2013年より京都大学大学院総合生存学館(思修館)教授を併任。2015年4月より京都大学医学部附属病院 病院長を併任。現在、日本医学会連合理事、日米医学協力委員会 栄養・代謝部会長、日本糖尿病学会 常務理事、日本病態栄養学会理事、日本糖尿病協会 理事、Asian Association for the Study of Diabetes(アジア糖尿病学会)Executive board などを務める。第59回日本糖尿病学会年次学術集会(2016年)会長。専門は臨床医学(特に内科学、糖尿病学、代謝・内分泌学、病態栄養学)。