気候変動の経済学

脱炭素社会実現に向けたイノベーション戦略

井上 恵美子 INOUE Emiko
京都大学白眉センター/経済学研究科
特定准教授

講義概要

気候変動に起因する自然災害などの諸問題が世界で多発し、甚大な被害をもたらしている。この問題の解決や緩和のためには、パリ協定の目標の達成が重要であり、日本をはじめ主要国は具体的な施策を提示し、カーボンニュートラルを宣言している。ただ本質的に温室効果ガスの大幅削減は容易ではなく、低炭素技術などのイノベーションの役割にますます注目が集まっている。本講義は、気候変動を経済学的視点から理解することを目的とする。気候変動によるリスクを科学的見地から整理し、その解決や緩和に期待されているイノベーションに焦点を当て考察していく。実際の政策と主要分野の研究開発進度を分析し、イノベーションをより促進するための戦略も議論する。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

パリ協定の目標達成やカーボンニュートラルの実現は、将来世代のためにも重要な課題である。そのために必要不可欠な低炭素技術などのイノベーションを創出、そして促進するためのメカニズムを考察することは、今後の政策や、研究開発の主な担い手となる企業の取組に新たな視点や方向性を示す。
またパリ協定の温度目標など具体的な中長期目標を意識し、理論と実証に裏付けられた科学的見地から気候変動を把握することは、この課題を自分の問題として捉える契機となり、目標実現のために現時点ではどのように対応すべきかという思考を可能にする。このような科学的知見に基づく一人ひとりの行動変容は新たな潮流を生み出し、さらには国際間の協力や取組にもつながると考える。

講師プロフィール

経歴

University of Oxford (MSc in Environmental Policy)、京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了(博士(経済学))、日本学術振興会特別研究員DC2。京都大学大学院経済学研究科講師を経て、現在、京都大学白眉センター/経済学研究科特定准教授。専門は環境経済学、環境政策。経済発展と環境保全の両立を可能にする「持続可能な発展」を実現するための方策について、環境経済学の視点から研究している。近年はその方策の一つとしてイノベーションに注目し、気候変動下における政策や企業の環境対応がイノベーションに与える影響に関して分析している。