世界の見方が変わる時

「鎖国」時代日本人は世界をどう見ていたのか

岩﨑 奈緒子 IWASAKI Naoko
京都大学 総合博物館 館長・教授

講義概要

日本が「鎖国」していた江戸時代は、一般に、閉塞的な時代であり、日本の近代化が遅れた原因は「鎖国」にあったとされる。確かに、ヨーロッパ世界と日本との関係はオランダを介したものに限られていたが、日本は世界の動きから隔絶して存在していたわけではない。18世紀後期以降の日本では、できる限りの情報を集め、総合し、世界で何が起こっているのかを正確に把握するために、多くの力が費やされた。そのようにして培われた知識は、明治以降の近代化を支える土台となった。この講義では、とりわけ18世紀から19世紀への世紀の転換期に起こった世界認識の転換の実相に迫る。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

この研究では、明治以降作り上げられてきた「鎖国」という強固なイメージが解体され、また、日本人の自国に対する認識の形成が、世界に対する理解の深化と表裏の関係にあったことも明らかになるだろう。固定観念や常識を疑ってみることの先に、未知の世界が広がっていることが伝えられればと念じている。

講師プロフィール

経歴

京都大学文学部卒業。京都大学大学院文学研究科修士課程修了。京都大学文学博士。1998〜2001年滋賀大学経済学部助教授。2001年京都大総合博物館助教授。2009年京都大学総合博物館教授。2015年京都大学総合博物館館長に就任、現在に至る。専門は、日本近世の対外関係。
修士課程に在籍している頃、史料読解という砂を噛むような作業の果てに、ある日目の前がぱっと開けるように、自分の知りたかったことが明らかになる瞬間を経験して、歴史研究を本格的に志した。総合博物館は有数の日本史資料の収蔵機関として知られるが、収蔵資料の中で世に知られているものは氷山の一角に過ぎない。それらの調査・研究を進め、論文や目録、展示等を通じて、その存在を広く伝え、日本史研究の深化に寄与したいと考えている。

著書

近著に、「18世紀後期における北辺認識の展開」『大地の肖像』京都大学学術出版会(2007年)、「『加模西葛杜加国風説考』の歴史的意義」『境界からみた内と外』岩田書院(2008年)、「松平定信と『鎖国』」『史林』95-3(2012年)、「寛政改革期の蝦夷地政策」『史林』97-4(2014年)、「世界認識の転換」『岩波講座日本歴史』13巻(2015年)