中国経済発展の要因と行方

国家と市場の相克の中で生きる

劉 徳強 LIU Deqiang
京都大学大学院経済学研究科 教授

講義概要

中国の改革開放政策が実施されてから今年でちょうど40年。この間、中国は急速な経済成長を遂げ、世界第二の経済大国になっただけではなく、経済や科学技術の一部の分野において世界の先端を走るようになった。一方、経済発展を最優先する政策の下で、拝金主義が蔓延し、中国は世界で最も貧富の格差が大きい国の1つになった。共産党一党支配の下で社会主義を目指すはずの中国においてなぜこのような変化が起きたのか。中国経済発展の根本的な原動力は何か。中国はいわゆる「中所得の罠」を乗り越えて先進国に邁進できるか。この講義では、改革開放以前と以降における中国の政治・経済システムの特徴を分析し、これらの問題に回答しようと試みる。最後に、このような中国の状況を踏まえ、日本は中国とどのような付き合いをしたらよいかについて触れておく。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

日本では、中国のことに対して否定的に捉える傾向が強い。確かに、今の中国には政治的、経済的、そして社会的な問題が多く存在し、それらが中国のさらなる発展の障害となりうる。しかし、今日の中国に存在する問題は中国特有のものもあれば、経済発展の特定の段階においてどの国にも存在しうる問題もたくさんある。むしろ後者の方が多いかもしれない。その意味で、中国の経済発展の要因とその過程における問題点を理解することは、中国に対する理解を深めるだけではなく、日中間における今後の協力関係の構築にも寄与するものと考えられる。

講師プロフィール

経歴

1988年一橋大学大学院経済学研究科修士課程理論経済学専攻修了。1991年一橋大学大学院経済学研究科博士課程理論経済学専攻修了、経済学博士。1991年東京都立大学経済学部助手。1992年東京学芸大学教育学部講師。1995年東京学芸大学教育学部准教授。2006年中国経営管理学会(現中国経済経営学会)理事。2007年東京学芸大学教育学部教授。2008年京都大学大学院経済学研究科教授。2009年京都大学大学院経済学研究科東アジア経済研究センター長。2010年中国経済学会(現中国経済経営学会)理事。2012年京都大学地球環境学堂地球益学廊地球益経済論分野教授、兼京都大学大学院経済学研究科教授。2014年中国経済経営学会理事。2017年京都大学大学院経済学研究科教授。開発経済学の視点から、中国経済の発展メカニズムや経済発展に関連する諸問題を研究している。とりわけ中国経済の成長パターン、産業構造、労働問題、所得格差、環境問題などの研究に取り組んでいる。

著書

『中国のミクロ経済改革:企業と市場の数量分析』日本経済新聞社(共著 1995年)(日経経済図書文化賞受賞)、『Industrial Reform in China: Past Performance and Future Prospects』Oxford University Press(共著 1998年)、『中国的工業改革: 过去的成绩和未来的前景』上海三聯書店・上海人民出版社(共著 2000年)、『中国の外資政策と日系企業』勁草書房(共著 2009年)、『国際金融危機後の中国経済』勁草書房(共著 2010年)