中国経済発展の本質と行方

近代的制度と価値観なくして近代国家なし

劉 徳強 LIU Deqiang
京都大学大学院経済学研究科 教授

講義概要

中国の改革開放政策が実施されてから今年で44年。この間、中国は権威主義市場体制の下で急速な経済成長を実現し、世界第二の経済大国になり、一部の分野では世界の先端を走るようになった。しかし、ここにきて、この体制の限界が露呈し、国内外で様々な軋轢を生みだすことになった。中国経済はさらに成長し、日米欧並みの先進国になれるのか。本講義では、これまで中国経済が発展してきたメカニズムを検討し、中国経済や社会が直面している諸問題の原因を明らかにした上で、今後の中国経済成長の可能性を展望する。米中対立とそれが中国の経済成長への影響や、日中経済関係と日本企業の対中進出についても触れておく。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

今日の中国は政治的、経済的、そして社会的な問題が多く抱えているが、この中に、中国特有のものもあれば、経済発展の特定の段階においてどの国にも生じうる問題もある。後者の問題については、経済のさらなる発展や社会の進歩を通じて解決すると期待できるが、前者の問題はその国の政治や歴史、文化に依存する可能性があり、経済発展によって解消できないだけではなく、経済発展そのものを阻害する可能性さえある。この講義では、中国の直面する問題の本質を明らかにすることで、中国の行方を展望することができる。

講師プロフィール

経歴

1980年北京大学経済学部入学。1982年に来日し、東京都立大学経済学部に入学。1991年一橋大学大学院経済学研究科博士課程理論経済学専攻修了。経済学博士。1991年東京都立大学経済学部助手。1992年東京学芸大学教育学部講師に就任、その後助(准)教授、教授を経て、2008年に京都大学経済学研究科教授。2009-2011年及び2021年から京都大学大学院経済学研究科東アジア経済研究センター長。2010年から数回中国経済学会(現中国経済経営学会)理事、2020年より会長。開発経済学の視点から、中国経済の発展メカニズムや経済発展に関連する諸問題を研究。りわけ中国経済の成長パターンの転換、国有企業改革、産業構造、労働問題、所得格差などの問題に取り組んでいる。