禅と日本文化

禅の教えとリーダーシップの醸成

松山 大耕 MATSUYAMA Daiko
妙心寺退蔵院 副住職

講義概要

禅の本質は「不立文字」。つまり、物事の本質は言葉では表現できない、伝えることができない、ということだ。実践体験を通して、核心を伝えていく。禅は単なる瞑想の手段ではない。「行住坐臥」寝ているときも、歩いているときも、すべての瞬間が禅である。ひとつの生き方と言ってもよい。今回の講義では、文字では表現できないと言われる禅の本質をあえて言葉を使って表現しながら、その奥深さを味わうための入り口としたい。坐禅の実践とともに、禅が生み出した庭や茶など日本文化の精神性にも触れ、禅がいかに日本文化に影響を与えてきたかということも感じていただきたい。また、歴史上さまざまなリーダーが禅に影響を受けており、禅の教えとリーダーシップの関係にも注目する。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

いまや禅は日本だけではなく世界中で広く親しまれている。しかし、日本の禅と今、世界で流行しているマインドフルネスやZENとは違いもある。一番大きな違いは、日本の禅は功利主義的な思考をしない、ということだ。マインドフルネスをすれば、パフォーマンスが上がるのではないか、ZENを実践すれば健康的な生活が過ごせるのではないか。確かにそういう「ご利益」はあるかもしれないが、あくまでそれは「おまけ」であって本質ではない。そういった功利主義的な捉え方であれば、今、世界にさまざまな歪みを産んでいる資本主義的な考え方を強化するに過ぎない。それを抜けたところにすばらしい世界が広がっており、そういう存在があるということに気づいてほしい。

講師プロフィール

経歴

2003年東京大学大学院 農学生命科学研究科修了。埼玉県新座市・平林寺にて3年半の修行生活を送った後、2007年より退蔵院副住職。外国人に禅体験を紹介するツアーを企画、外国人記者クラブや各国大使館で講演を多数行うなど、日本文化の発信・交流が高く評価され、2009年5月観光庁Visit Japan大使に任命される。また、2011年より京都市「京都観光おもてなし大使」。2016年『日経ビジネス』誌の「次代を創る100人」に選出され、同年より「日米リーダーシッププログラム」フェローにも就任。2017年より京都造形芸術大学客員教授。
2011年には、日本の禅宗を代表してヴァチカンで前ローマ教皇に謁見、2014年には日本の若手宗教家を代表してダライ・ラマ14世と会談し、世界のさまざまな宗教家・リーダーと交流。2014年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席するなど、世界各国で宗教の垣根を超えて活動中。

著書

『大事なことから忘れなさい~迷える心に効く三十の禅の教え~』世界文化社(2014年)、『京都、禅の庭めぐり』PHP(2016年)、『ビジネスZEN入門』講談社新書(2016年)