学問の意味と意義

各専門知識を脳に入れたら何なのか?

宮野 公樹 MIYANO Naoki
京都大学学際融合教育研究推進センター 准教授

講義概要

多分野の受講が直ちに教養獲得とはならない。様々な個別知が分散的に存在する知識空間の間(ま)にこそ知性は存在し、それは個別値の統合、融合を求めてこそ身体化されうる。結局のところ、教養とは知性を求める構えに他ならない。そもそも参照軸としての自己がなければ、個別知との距離感も測れず、ただただ「おもしろいか、おもしろくないか」、「役に立ったか、役に立たなかったか」といった表層的感覚でしか承認されないのである(これではテレビ番組のザッピングとかわらない)。

本講義では、本プログラムを受講するにあたって、当思修館ELPの思想を踏まえての“あるべき構え”について理解することを目的とし、対話型形式のワークを行うことで今後数ヶ月間にわたる様々な講義や体験の価値を最大化させるための思想的基盤を強化する。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

問い学ぶこと、すなわち“学問”により、ある事実について異なる視点での受けとめ方を知る。そうするとその事実がまた違ったように思えてくる。これが「理解を深めること」であり、同じ事実でも二重三重の「想い」をもって接するようになる。これが味わいや憂いといった「ものの哀れ」を感じることにつながり自ずから感謝の念が湧く。結果、この世で一番貴重な「時間」というもの、すなわち、限られた自分の生をより意義あるものにできる・・・
すなわち、学ぶことは生きること。生きることそのもの。今こういった考え方が失われつつあり、制度化した社会の中で有り体に言うと学ぶことは「点数をとるためのもの」すなわち「食っていくためのもの」になってしまっている。
学問の意味と意義を問い直す価値はこのあたりにある。

講師プロフィール

経歴

1996年立命館大学理工学部機械工学科卒業後、2001年同大学大学院博士後期課程を修了。大学院在籍中の2000年カナダMcMaster大学にて訪問研究生として滞在。後、立命館大学理工学部研究員、九州大学応用力学研究所助手、2005年京都大学ナノメディシン融合教育ユニット特任講師、2010年京都大学産官学連携本部特定研究員、2011年より現職。その間、2011年4月~2014年9月まで総長学事補佐、加えて、2011年10月~2014年9月まで文部科学省研究振興局基礎基盤研究課参事官付(ナノテクノロジー・材料担当)学術調査官を兼任。博士(工学)。受賞歴:1997年南部陽一郎研究奨励賞、2000年カナダ金属物理学会ベストポスター賞、2001年日本金属学会論文賞、2008年日本金属学会若手論文賞、他多数。専門分野:大学にまつわる政策を軸とした学問論、大学論。異分野融合の理論と実践。(かつての専門:金属組織学、ナノテクノロジー、医工学)趣味:カメラ

著書

『学生・研究者のための使える!パワポスライドデザイン伝わるプレゼン1つの原理と3つの技術』化学同人(2009年)、『学生・研究者のための伝わる! 学会ポスターのデザイン術』化学同人(2011年)、『研究発表のためのスライドデザイン』講談社ブルーバックス(2013)、『研究を深める5つの問い』講談社ブルーバックス(2015)、『異分野融合、実践と思想のあいだ』ユニオンエー社 (2016)など。