すうがくの論理と応用

数学のおもしろさを追体験します

中村 佳正 NAKAMURA Yoshimasa
京都大学大学院情報学研究科 教授

講義概要

この講義では、基本的な論理を積み上げていくうちに思いがけない高みに立ち、あらたな応用を獲得する数学のおもしろさを追体験していきます。
まず、足し算と正比例を発展させることで成立し、自然現象や社会現象を記述、解析、予測、利用できるようにした微分積分学を振り返り、その本質は線形性であることを確かめます。線形性を保つような操作は、いくら抽象的なものでも必ず数学の言葉で表せます。
つぎに、高校数学にでてくる算術平均と幾何平均の不等式を出発点に、ガウスが発見した数列とアルゴリズムを考えてみます。このアルゴリズムはコンピュータ時代でも精度と時間の両面でなお最高の性能をもち、振り子の周期の計算を通じて自然現象の理解に役にたっています。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

欧米の学問体系は大きく分けてアートとサイエンスですが、このうちアートの基礎にあるのがリベラルアーツです。それは神学と哲学に続くもので、言語にかかわる文法、修辞学、弁証法、数学にかかわる算術、幾何、天文、音楽をいいます。なぜ数学がリベラルアーツの中核にあるのでしょうか。
数学は明晰です。論理が身につくことで数学を学んだ人間は、知的に考える力をもち、想像力が豊かになります。同時に、sin(x)、πのような世界共通の記号法によって数学上の発見は歴史や国境を超えた普遍性をもちます。算術や幾何はアラビア数学、ギリシャ数学に源流をもち、天文は線形性の数学である微分積分学の成立を後押しして産業革命に結びつきました。

講師プロフィール

経歴

1978年京都大学工学部数理工学科卒業。1983年京都大学大学院工学研究科博士後期課程数理工学専攻修了、工学博士。1985年岐阜大学助教授。1994年同志社大学工学部教授。1996年大阪大学大学院・基礎工学研究科教授。2001年より京都大学大学院・情報学研究科教授。2009~2011年情報学研究科長。2012~2014年理事補。2012年より学際融合教育研究推進センター長。2013年より京大ボート部長。2016年より情報学系長。
専門は応用数学、とりわけ、可積分系や計算数学。高速・高精度の特異値分解法I-SVDを開発し、ライブラリ公開している。国際特許3件,国内特許4件。
主な学会活動として、日本応用数理学会理事(2005~2012年)、同副会長(2011年)、同フェロー(2016年)、JSIAM Letters, Editor-in-Chief(2008~2011年)。情報処理学会、SIAM、AMS各会員。 日本学術会議連携会員。

著書

主著に『可積分系の応用数理』(共著)裳華房(2000年)、『可積分系の機能数理』(単著)共立出版(2006年)。