移民時代の到来と 多文化共生のかたち | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

移民時代の到来と 多文化共生のかたち

移民の社会的統合とシティズンシップ

西谷 祐子 NISHITANI Yuko
京都大学大学院法学研究科 教授

講義概要

日本では、少子高齢化と労働力不足に伴い、外国人労働者が急増している。在留外国人は総人口の2.5%を占め、うち中国・台湾人(26.6%)、ベトナム人(15.9%)、韓国・朝鮮人(14.2%)、フィリピン人(9.7%)、ブラジル人(6.8%)が多い。日本には、まだ積極的な移民統合政策がないが、今後外国人にも定住や家族帯同、社会保障、政治参加などの権利を保障し、同じ共同体に属する市民(シティズン)として受け入れるか否かを検討する必要がある。その際には、異なる文化的背景をもつ外国人のアイデンティティの尊重も課題となろう。本講義では、欧米と対比させながら、日本において移民の社会的統合と多文化主義を実現していく可能性について多角的に考察する。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

今日では、外国人労働者が各所で社会や経済を支えており、今後も増えることが予想される。しかし、コロナ禍に見られたように、外国人労働者の生活基盤は脆弱であり、権利保障は十分ではない。また、群馬県太田市や神奈川県川崎市のような成功例はあるものの、まだ多文化共生が浸透しているとはいえない。本講義に触れることで、日本における外国人労働者の受入体制の現状と課題について考察するとともに、アジアでの国際労働移動の特徴について知り、欧米の経験と比較することで、日本における今後の移民政策や多文化共生のあり方について考える契機となると思われる。

講師プロフィール

経歴

京都大学大学院法学研究科・教授。東北大学准教授、九州大学教授を経て、2015年から現職。国際私法・比較法・家族法を専門とする。京都大学法学部卒業、同大学院法学研究科修士課程修了後、ハイデルベルク大学法学博士(1998年)。ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、米国にて長期在外研究。デューク大学及びニューヨーク大学(米国)、チューリッヒ大学及びローザンヌ大学(スイス)、テルアビブ大学(イスラエル)、台湾法官学院等の客員教授を歴任。2020年フィリップ・フランツ・フォン・ジーボルト賞受賞。2023年5月からハーグ国際法アカデミー副会長。

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