有機合成化学の世界

分子の手触り

大嶌 幸一郎 OSHIMA Koichiro
京都大学 名誉教授

講義概要

化学と聞くと多くの方は拒否反応を起こすらしい。しかし、化学ほど我々の生活に密着している学問領域はない。そこで今回の講義では化学をより身近に感じてもらうことを目的に設定し、極めて基礎的、根本的な分子のあり方ならびに分子の組立て方から丁寧に説明することを試みる。加えて、上記目的を達するため、簡単な有機合成化学の実験を行う。これにより、「分子を扱う」という事象を多角的に理解することが可能となるだろう。受講生との対話の流れによっては、これまでにノーベル化学賞を受賞した研究の中からいくつかを選び、発見の経緯を解説する。
なぜ化学の世界観を手に入れる必要があるのかと問われたなら、そこには物質創造という魅力を味わって欲しいからと答える。それを知らない人生はもったいない。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

世の中に大きなインパクトを与え我々の生活を豊かにした研究がどのように誕生したのかを知ってもらうことで有機化学の研究に対する親近感を持って頂くと共に研究の面白さを知っていただきたい。一般の方々が持たれている化学汚染や化学兵器などといった化学に対する負のイメージを払拭し、我々が化学によって受けている大きな恩恵について実例を挙げて示したい。
さらに、化学が21世紀に果たすべき役割について、具体的には21世紀の世界的課題である環境問題、エネルギー・資源問題に化学がどのように関わればよいかについて化学の功罪に触れながら受講生とともに考えたい。

講師プロフィール

経歴

1970年京都大学工学部工業化学科卒業。1972年京都大学大学院工学研究科工業化学専攻修士課程修了。1975年京都大学大学院工学研究科工業化学専攻博士課程修了、工学博士(京都大学)。1975年4月から1977年8月まで米国マサチューセッツ工科大学博士研究員。1977年9月京都大学工学部助手。1984年4月同講師。1986年2月同助教授。1993年10月同教授。1996年4月改組に伴い京都大学大学院工学研究科教授に配置換、京都大学工学部兼担。2003年4月から2005年3月まで京都大学教育研究評議会評議員。2005年4月から2008年3月まで京都大学環境安全保健機構長、京都大学環境保全センター長併任。2008年4月京都大学大学院工学研究科長・工学部長。2010年4月京都大学名誉教授。2010年5月京都大学特任教授。2013年4月京都大学大学院総合生存学館特定教授。2018年3月退職。2014年2月京都大学副学長。有機反応化学を研究。2005年有機合成化学協会賞受賞。2007年日本化学会賞受賞。