問いのデザイン

多様な個を活かすも埋没させるも「問い」しだい

塩瀬 隆之 SHIOSE Takayuki
京都大学総合博物館 准教授

講義概要

「ロボットは意識を持ちうるか?」「社会がなくても心は存在するか?」など、わたしたちをより深い思考の海に誘う「問い」とはどのようなものか。多くの場合が「大切な問い」を無自覚にはとらえているにもかかわらず、向き合い方がわからないがゆえに塩漬けにしてしまう。多様性を活かし、一人一人の個の動機と経験を編み合わせたチームとして牽引するような次世代リーダーシップには、組織成員の心を揺り動かすような核心を突いた問いの投げかけが欠かせない。ダイバーシティの重要性を頭で理解しているとは言いつつも、腑に落ちないままでは成員の士気を高めることはできない。
本講義では、問いのデザイン手法や実例とから、受講生各自の専門領域で接する課題と向き合い、所属する組織をより創造的な対話関係を持続できるようなコミュニケーションデザインの習得を目指す。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

社会も組織もスイッチ一つでは何も変わらない。しかし、その成員となる個一人一人が変わることが、大きな変革の種となる。アイデアの萌芽がすでにあったととしても、同じ成員が、同じ会議の方法で、同じ評価方法を続ける限りは社会変革に結実しない。解決策は特別な才能に求めるのではなく、多様な個が埋没してしまう組織の仕組みをよく理解し、確かな観察眼と精緻な論理的思考を組み合わせてその構造を丁寧に紐解くことである。

講師プロフィール

経歴

京都大学工学部精密工学科卒業、同大学院工学研究科修了。機械学習による熟練技能継承支援システムの研究で工学博士。ATR 知能ロボティクス研究所、慶応義塾大学SFC 研究所客員研究員など併任。京都大学大学院情報学研究科助教、京都大学総合博物館准教授を経て2012年6月退職。同7月より経済産業省産業技術政策課 課長補佐(技術戦略)。2014 年7月京都大学総合博物館准教授に復職。NHK E テレ「カガクノミカタ」番組制作委員。日本科学未来館“ おや? ”っこひろば総合監修者。平成29 年 文部科学省 中央教育審議会委員( 数理探究)、平成30 年より現在 経済産業省 産業構造審議会イノベーション小委員会委員、若手ワーキング座長、特許庁知財創造教育調査委員、文化庁伝統工芸用具・原材料調査委員、日本医療研究開発機構プログラムオフィサー、令和2年岐阜市教育委員会 不登校特例校設立準備アドバイザー、2025大阪・関西万博日本館基本構想有識者委員会座長ほか。平成29 年度文部科学大臣表彰・科学技術賞(理解増進部門)ほか受賞多数。

著書

『未来を変える 偉人の言葉』(星出出版、2021)、『問いのデザイン』(学芸出版社、2020、HRアワード2021書籍部門最優秀賞受賞)、『インクルーシブデザイン』(学芸出版社、2014)ほか。