地球惑星水質源評価 | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

地球惑星水質源評価

水惑星を求めて

山敷 庸亮 YAMASHIKI Yosuke
京都大学大学院総合生存学館(思修館)教授

講義概要

地球が水惑星として誕生した地球惑星科学的条件について焦点をあて、他の地球型惑星との比較を通じそれぞれの惑星の大気による温室効果の比較、また暴走温室効果や雪玉地球形成条件から水惑星として存在しうる条件について紹介する。また地球史の学習を通じて海洋と大気の形成条件と、海洋循環や水文循環プロセスがもたらす気候安定効果について学び、そのシステムが機能しなくなった際の極端事象について紹介する。同時に国連持続可能な開発目標(SDGs)で現在議論されている水に関する問題に焦点を当て、現代文明を支える水と世界の人々から求められる水について、様々な専門家の議論と合意形成の過程を紹介する。さらに、太陽系外惑星データベース(ExoKyoto)を用いて、古典的ハビタブル条件と、恒星粒子線による放射線環境も考慮したスペース・ハビタビリティーについて考察する。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

水の惑星地球と言われるが、地球上に存在する現実の水と、我々が求めている水、そして我々の社会が理想とする水資源についての認識には大きなギャップがある。また、海洋に囲まれて年間降水量が大きい我が国だけを見ていると、現在の世界の状況が理解しづらい。さらに我が国には水を介した公害病である水俣病や、福島第一原発事故に関する汚染水問題もある。本内容を理解することにより、これらの問題点の理解を進めるとともに、UNESCO-IHP における世界水質イニシャティブ(IIWQ)の議論や世界各国の水資源の状況を踏まえて、水惑星地球に生きる我々の将来を担うために必要な政策について学ぶ。今後人類進出が期待される月や火星、そして近隣の太陽系外惑星を比較し、適度な大気と磁場、そして液体の水が存在しうる惑星が宇宙でどれだけ貴重であるかを学び、水惑星地球で暮らす我々の幸運と、この惑星を守ってゆくことの重要さについて学ぶ。

講師プロフィール

経歴

1990 年京都大学工学部交通土木工学科卒業後、京都大学工学研究科環境地球工学専攻修士課程時に日本ブラジル交流協会を通じてサンパウロ大学で研修(1991年)、サンパウロ大学工科大学院(EPUSP)修士課程修了(1994 年)。京都大学博士(工学)(1999 年)。財団法人国際湖沼環境委員会研究員(1997 ~ 1999 年)、国連環境計画(UNEP)協力企画官(1999 ~ 2001年)、京都大学工学研究科助手(2001 ~ 2004 年)、日本大学理工学部講師・准教授(2004 ~ 2008 年)、東京大学理学部講師( 非常勤、2007年)、海洋研究開発機構招聘主任研究員(2008 ~ 2013 年)、京都大学防災研究所准教授(2008 ~ 2013 年)、同大学院総合生存学館准教授(2013~ 2014 年)などを経て現職。国連環境計画(UNEP)、世界水アセスメント計画(WWAP)、国連教育文化機関国際水文プログラム(UNESCO-IHP)などとともにラプラタ川流域ワークショップを開催( 第3 回~第5 回)し、南米MELCOSUL 地域を舞台に活動を行なうとともに、国連地球環境監視システム淡水部門(GEMS/Water)のアドバイザーなどを務める。JICA-JSPS 専門家派遣にてブラジル国立宇宙研究所気象気候予測研究センター(INPE-CPTEC)に派遣、サンパウロ大学サンカルロス校客員教授となる(2010 年)。地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATREPS)を通じてクロアチア国の土砂災害防災計画に関わる。水環境学会技術賞(2001年)、水文・水資源学会論文賞(2014 年)などを受賞。国連世界水質アセスメント(WWQA)タスクフォースメンバー(2014〜 2015 年)などを経て、2015 年から2017年まで国連教育文化機関国際水文プログラム国際水質イニシャチィブ(UNESCO-IHPIIWQ)専門家会議議長、2015 年京都でのUNESCO 水質専門家会議を主催する。京都大学における国際機関との連携協定を推進し、2016 年国連食糧農業機関(FAO)、同年国連開発計画(UNDP)との締結のFocal Point となる。2015 年より宇宙における水の研究を推進し、系外惑星の複数のハビタブル・ゾーンと恒星粒子線による放射線環境を比較可能な系外惑星データベース ExoKyoto を開発し、ホームページにて公開(http://www.exoplanetkyoto.org)する。2019 年、土井宇宙飛行士、寺田准教授らとともに、アリゾナ大学人工隔離生態系Biosphere2 を用いたスペースキャンプ(SCB2)を企画、実践する。

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