ブレイン・デコーディング
脳信号から心を解読する方法

2020.2.21.Fri. 13:40-16:50

京都大学教授 神谷之康

講義の概要と目的

「脳から心を読む機械」は古くからフィクションに登場しますが、その可能性が科学的議論の対象となったのは、ごく最近のことです。脳の信号は心の状態や行動をコード化している「暗号」と見なすことができます。そして、その暗号を解読(デコード)することが脳から心を読むことにつながります。私の研究室では,コンピュータサイエンスの分野で開発されている機械学習や人工知能の技術を応用して、心の状態に関するさまざまな情報を脳信号パターンからデコードする方法の開発を進めています。本講義では、心の中のイメージや夢の内容を脳から解読する方法を中心に紹介しながら、ブレイン・デコーディングの可能性について議論します。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

インターネットやスマートフォンなど新たな情報通信技術が、多様なコミュニケーションを可能にしてきました。しかし、現代の情報通信技術で超えられていない壁があります。それは「身体」です。われわれが情報を発信するとき、キーボードを打つ、声を発するなど、身体(筋肉)を動かす必要があります。筋肉とつながっている脳の部分はごく一部で、そのごく限られたチャンネルを通して、脳の情報が外に伝わるのです。筋肉の動き以外にも多くの情報が脳に表現されているとすると、身体は脳にとって「情報のボトルネック」と言えるかもしれません。ブレイン・デコーディングは、筋肉とは直接つながっていない部分を含む脳全体から情報を解読できます。これにより、身体を介さずに意思伝達や表現行為が可能となります。また、本人も意識していない・覚えていない情報を解読することにより、深層心理を知る手がかりが得られるかもしれません。

講師プロフィール

経歴
奈良県生まれ。東京大学教養学部卒業。カリフォルニア工科大学でPh.D.取得後、ハーバード大学、プリンストン大学、ATR脳情報研究所を経て、2015年から現職。機械学習を用いて脳信号を解読する「ブレイン・デコーディング」法を開発し、ヒトの脳活動パターンから視覚イメージや夢を解読することに初めて成功した。SCIENTIFIC AMERICAN誌「科学技術に貢献した50人」(2005)、塚原仲晃賞(2013年)、日本学術振興会賞(2014年)、大阪科学賞(2015)等を受賞。2018年、ATRフェローの称号を授与される。サーペンタイン・ギャラリー(ロンドン)でのピエール・ユイグの展示 “UUmwelt”(2018年)のための映像を提供するなど、アーティストとのコラボレーションも進めている。

Day22020.2.20 Thu.
心とは何か

Day32020.2.21 Fri.
脳の認知科学

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