「脳」の窓からみる「こころ」
ヒトの記憶と脳の関係を探る

2020.2.21.Fri. 9:30-12:40

京都大学教授 月浦崇

講義の概要と目的

私たちは誰もが自分に「こころ」があることを知っています。しかし、「こころ」を持っていることは主観的に知っていても、その主観的な「こころ」を客観的に示すことは必ずしも簡単ではありません。一方で、どんな対象の科学であっても、客観的にその事実を証明することはとても重要なことです。それでは、このような主観的体験であるヒトの「こころ」を客観性が求められる科学の土台に乗せるのにはどのようにしたらよいのでしょうか?私たちはその手段の一つとして、客観的に示すことができる「脳」のはたらきを通して、それと相関して動く「こころ」を探求したいと思っています。特に本講義では、ヒトの「こころ」のはたらきの中でも「記憶」に焦点を絞り、ヒトの「脳」と「記憶」との関係を研究する認知神経科学の知見を紹介してみたいと思います。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

私たちは誰でも、「楽しい」、「つまらない」、「イライラする」、「満足だ」など、様々な表現で自分のこころの状態を伝えることができます。しかし、そのような自分が感じているこころの状態は、たとえ同じ表現形であったとしても他の人が同じこころの状態であるとは限りません。つまり「脳」と「こころ」の研究は、「私たち」や「あなたたち」を構成している基盤を理解することであり、ひいては社会全体の感じ方の基盤を理解することでもあります。超高齢社会である日本では、高齢者における認知機能の低下とそれに伴っておきる様々な社会問題があり、それらをどのように解決に向けて進めていくのかは喫緊の課題です。私は、こどもからお年寄りまで、すべての世代の人々が社会の中で生き生きと暮らすことができるにはどのようにしたらよいのかを、認知神経科学の側面から考えていきたいと思っています。

講師プロフィール

経歴
1996年東北大学教育学部教育心理学科卒業。2001年東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻博士課程修了、博士(障害科学・東北大学)。2001年から2008年まで、独立行政法人産業技術総合研究所脳神経情報研究部門・研究員、2006年から2008年まで米国デューク大学認知神経科学センターの客員研究員として、ノースカロライナ州ダーラム市に在住。2008年から2011年まで、東北大学加齢医学研究所脳機能開発研究分野・准教授。2011年から2016年まで、京都大学大学院人間・環境学研究科認知・行動科学講座准教授。2017年より同教授(現職)。2009年日本心理学会国際賞(奨励賞)受賞。2011年文部科学大臣表彰(若手科学者賞)受賞。ヒトの記憶と情動や社会性、加齢との関係について、機能的磁気共鳴画像を中心とする脳機能画像と、脳損傷患者を対象とした行動学的研究の両面から、ヒトの脳と記憶の関連について研究を進めている。

Day22020.2.20 Thu.
心とは何か

Day32020.2.21 Fri.
脳の認知科学

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