量子アニーリングが示す社会の未来像
-D-Wave 2000Qを実際に利用してわかること-

2019.2.1.Fri. 13:40-16:50

東北大学大学院准教授 大関真之

講義の概要と目的

量子アニーリングという技術をご存知だろうか。量子揺らぎを利用した組合せ最適化問題を解く汎用的解法として提案された。このアイデアを実際に超伝導量子ビット上で実現しようとしたものがD-Wave Systems社が販売するD-Waveマシンである。ただしそこでは、量子ビットを利用するものの、量子ビットの操作を積極的に行わず、自然現象に任せるのみであり、量子力学的効果の利用方法として独特なものとなる。 それではこのマシンを利用すると、どのような結果を迎えるのか、実際に試してみよう。どんな結果が得られるのか、みてみよう。その性能にがっかりするか、それとも未来を感じるか、その技術を見守るのか、育てるのか。あなたはどの選択を取るのか。それを問う。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

自然現象を利用した計算手法の一つである量子アニーリングが、組合せ最適化問題を解く最良の手段であるかというとそうではないだろう。しかし様々な問題をイジング模型と呼ばれる共通言語を通して、乗せることができる。そして驚異的な自然現象の速度を利用して、組合せ最適化問題を解く。ドイツのVWを始め、NASAやLockheed Martinなど応用例を積み上げていく研究機関・企業が次々と登場している。とはいえ、まだまだできることとできないことで言えば、できないことだらけである。登場したてのファミコンに容量制限の中で積み上げた工夫により、最高のゲームが作り出せたように、キラーアプリとなる応用例を見つけることで、この技術の真価を示すことで世界を変える可能性がある。挑戦者を待つ。

講師プロフィール

2008年東京工業大学大学院理工学研究科物性物理学専攻博士課程早期修了、産学官連携研究員を経て、2010年京都大学大学院情報学研究科システム科学専攻助教、2011年ローマ大学プロジェクト研究員を経て、2016年より現職。2018年より量子アニーリング研究開発センター・センター長、Q+HPCデータ駆動型科学技術創成研究拠点・拠点長。2012年第6回日本物理学会若手奨励賞(領域11)受賞。2016年平成28年度文部科学大臣表彰若手科学者賞受賞、2017年 「ITエンジニアに読んでほしい!技術書・ビジネス書大賞(ITエンジニア本大賞)」技術書部門大賞・平木 啓太さん特別賞・千代田まどかさん特別賞受賞。

Day32019.2.1 Fri.
量子コンピューター

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