AI技術文明と人間の生き方
生存のための「人間の条件」再考

2019.2.2.Sat. 10:00-13:10

京都大学大学院教授 鈴木晶子

講義の概要と目的

AIなど新たな技術文明の創生期にあって、人間の知情意、身体はもとより、時空意識や世界観、死生観も変わりつつある。18世紀の近代啓蒙以来の社会システムも大きな転機を迎え、主体、個人、公共性など基盤的考え方にも再考が求められている。技術文明の担い手として、人間はその技能や能力を、変化に適応させつつこれまでも変貌を遂げてきた。動物とだけでなく、今後は機械との差異化を通して人間はその独自性について考えていく必要がある。「人間であること、あり続けること」-Human Beingの条件について思索することは、社会や組織、もとより自身の未来を創造するための核である。AI技術文明だからこそ考えるべき人間の生き方を取り上げる。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

AIをはじめICT技術への期待と不安が増大する状況下で、技術を正しくおそれる智恵や勘、「智恵なすわざ」を磨くことがますます求められている。技術の開発や利活用のガイドラインは国内外で精力的に研究されているが、人間の存在そのものの変容という視点での研究は遅れている。本研究は近代啓蒙社会をモデルとした人文社会科学の基礎概念の再定義を促すという、学術諸分野への影響だけでなく、科学技術の開発や普及のためにとるべき体制や手続き、未来社会を構想するための基本的要件など、組織マネジメントや、教育など、人間社会の核となる「新・人間の条件」をめぐる研究である。文化・文明の視点による日本からの発信としても意義が大きい。

講師プロフィール

教育哲学、科学哲学、歴史人類学、死生学が専門。直感や智恵の醸成、わざの修練といった近代に忘れられてきた人間の才の復権と新たな学習理論の構築に取り組んできた。現在は、新たなAI技術文明の時代に生きる人間のための産官学連携による総合倫理プラットフォーム構築のプロジェクトに取り組んでいる。文学博士。京都大学大学院教育学研究科助教授を経て、2003年より教授。ベルリン自由大学客員教授。2010年より京都市教育委員。2016年より理化学研究所・革新知能統合研究センター・人工知能倫理・社会チームリーダー。

Day32019.2.1 Fri.
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