京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

行動経済学から見るAIの未来

人間とAIを比較して 見えてくるもの

依田 高典 IDA Takanori
京都大学大学院経済学研究科 教授

講義概要

近年、ノーベル経済学賞は行動経済学やフィールド実験の分野に相次いで授与されています。行動経済学は、人間がどのようなバイアスを持ち、行動変容が起こるかを探究する学問で、フィールド実験は実生活の場で因果関係を検証します。一方、生成AIの急速な発展により、シミュレーションやデータ分析が飛躍的に向上しましたが、AIにも学習データやアルゴリズムに起因するバイアスが内在しています。人間固有のバイアスとAIのバイアスを比較検討しつつ、これらをビジネスや政策にどう活用するかを学ぶのが本講義の狙いです。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

行動経済学は、人間の不思議な行動を説明する原理として、ビジネスや政策に応用されています。フィールド実験は、介入が行動変容に与える影響を検証する方法として、行動経済学と強く関連しています。さらに、生成AIの進化により、個々人の特性に合わせたAIパートナーが構築され、健康管理や教育、消費行動の最適化などに活用が進んでいます。一方で、AIの社会的影響や倫理的課題も重要であり、これらを考慮しながら人間とAIの協調を探ることが求められます。

講師プロフィール

経歴

1965年新潟県生まれ。1989年京都大学経済学部卒、1995年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。現在、京都大学大学院経済学研究科教授。同研究科長・同学部長(2021~2023年度)。その間、イリノイ大学、ケンブリッジ大学、カリフォルニア大学客員研究員を歴任。専門は応用ミクロ経済学・応用実証経済学。行動経済学・フィールド実験・因果推論ならびに機械学習の融合研究に取り組む。日本学術振興会賞、日本行動経済学会ヤフー論文賞、日本応用経済学会学会賞、大川財団出版賞、ドコモモバイルサイエンス奨励賞等を受賞。

著書

主な著書に『ブロードバンド・エコノミクス』日本経済新聞出版社(2007年)、『行動経済学』中公新書(2010年)、『「ココロ」の経済学』ちくま新書(2016年)、『スマートグリッド・エコノミクス』有斐閣(2017年)、『データサイエンスの経済学』岩波書店(2023年)等がある。

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