
丸山 里美
MARUYAMA Satomi(2023年度現在)
京都大学大学院文学研究科 准教授
講義概要
ホームレスというと、男性がイメージされることが多いだろう。しかしわずか3%といわれているが、女性のホームレスもいる。彼女たちは、どのような人たちで、どんな人生を送り、どのようにして生きているのだろうか。
本講義では、フィールドワークを通して見えてきた、女性ホームレスたちの生活や語りを中心に、ホームレスや貧困の概念などの学問領域や、福祉制度のなかにあるジェンダー・バイアスについて、さらには私たちが暗黙のうちに想定している人間像について考えてみたい。
世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか
ごくわずかしかない、ホームレスの女性たち。彼女たちは、なぜホームレスをしているのだろう。あるきっかけから女性ホームレスを探して話を聞いていくなかで、一見理解することが難しいような彼女たちの行動にも、彼女たちなりの論理があることを知ることになった。そして社会のさまざまなところに、ジェンダーの思い込みがあることに気づいていくことになった。私たちが通常想定している人間像は、成人の健常者で、男性である。たとえ小さな声でも、それとは異なる彼女たちの声を聞くことからも、私たちがあたりまえのように思っている人間の見方について、考え直すことができるのではないだろうか。
講師プロフィール
経歴
京都大学大学院文学研究科博士課程研究指導認定退学。京都大学文学博士。2010年立命館大学産業社会学部准教授。2019年より現職。専門は、社会学、ジェンダー研究、貧困研究。
著書
『貧困問題の新地平――〈もやい〉の相談活動の軌跡』(編著、旬報社、2018年)、『質的社会調査の方法――他者の合理性の理解社会学』(共著、有斐閣、2016年)、『女性ホームレスとして生きる――貧困と排除の社会学』(世界思想社、2013年、第33回 山川菊栄賞受賞)、「世帯内資源配分に関する研究にみる「世帯のなかに隠れた貧困」」『大原社会問題研究所雑誌』739: 8-21(2020年)、「ジェンダーから見た貧困測定――世帯のなかに隠れた貧困をとらえるために」『思想』2020年4月号, 29-46(2020年)など。