
中西 寛
NAKANISHI Hiroshi
京都大学公共政策大学院 教授
講義概要
現代世界が大きな変動期にあることは明らかであり、将来を見通すことはますます困難になっている。こうした時代にあっては歴史的な流れを理解した上で今の時代が向かう方向感覚を問いなおすことが役に立つ。本講義では、長期的な歴史の軸を踏まえて現代世界の位置づけを問いなおした上で、国際社会が取り組むべき課題や日本の立ち位置について論じる。まず、20世紀の世界を俯瞰しつつ21世紀国際政治の課題を論じた上で、日本の近現代史について捉え直し、世界の中での日本の立ち位置について論じる。その際には伝統的な政治外交史とマクロ・ヒストリーの巨視的な視点を組み合わせ、また、自然科学と人文社会科学の分野を横断する視点の重要性にも配慮する。
世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか
国際情勢や各国外交については日々のニュースや時事解説で触れることは多い。しかしそれらはニュース価値のある情報だけを切り抜いて報じられることが一般的であり、その構造的、長期的背景を知る機会は少ない。しかし国際政治にもニュースでは取り上げられにくい深層構造といったものが存在し、その上でニュースになる日常的な出来事が繰り広げられているのである。現代のような大きな歴史的変動期には深層構造そのものが動揺、変化しているのであってその点に注意を払うことが現変化の時代を理解し、行動するための歴史感覚を養うことにつながると期待できる。
講師プロフィール
経歴
1962年大阪府生。京都大学法学部、京都大学大学院法学研究科、シカゴ大学歴史学部大学院を経て1991年京都大学法学部助教授、2002年京都大学大学院法学研究科教授、2024年から京都大学公共政策大学院教授。専門は国際政治学、特に20世紀国際政治史、安全保障論、日本外交論など。日本国際政治学会理事長(2014-16年)、「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」委員(2022年)、外務省「開発協力大綱改定に関する有識者懇談会」座長(2022年)など。
著書
主要著作『国際政治とは何か-地球社会における人間と秩序』(中公新書)、五百旗頭真編著『戦後日本外交史』(有斐閣)、中西寛他著『漂流するリベラル国際秩序』(日本経済新聞社出版)など。