ブロックチェーンエコノミクス
システム科学とデータ科学からのアプローチ

2023.2.5.Sun. 11:20-12:50

京都大学大学院総合生存学館
教授 池田裕一

講義の概要と目的

日本ではSociety5.0やデジタル田園都市構想(地方活性化)の取り組みが政府を中心にして進められている。また,米国の巨大IT企業は,web2.0の次の技術として,ブロックチェーンを中核技術と位置付けたweb3.0を提唱している。新しいデジタル経済の実現にはブロックチェーン技術が必須である。ブロックチェーン技術にもとづく分散台帳や暗号資産は,従来の経済システムを大きく変革する可能性がある。しかし,資金洗浄,詐欺など暗号資産取引のアノマリ(異常事象)のため,ブロックチェーン技術をつかった新しい経済に対して否定的な見方が依然として存在する。本講義では,アノマリ検出の事例やブロックチェーンを使ったエネルギー取引システムの事例を紹介して,Web3.0とDAOを含めてブロックチェーン技術の基本を学び,ブロックチェーン経済の可能性について論ずる。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

ブロックチェーンというと,価格暴騰する暗号資産への投機,マネーロンダリングや詐欺を思い浮かべ,ネガティブな印象を持つ人がいるかもしれない。しかし,欠点があるからといって大きい利点を逃すのは賢い考え方ではないであろう。ネットワーク科学,位相幾何学,機械学習,量子論理などを駆使することによって,マネーロンダリングや詐欺などのアノマリ,価格暴騰の予知がある程度までは可能になる。数学の力で欠点を抑え込み,ブロックチェーン技術に基づく分散台帳の利点をフルに生かして,「新たなシステム」を作ることができる。このシステムの中心概念が,Web3と分散自律組織DAOであり,「新しい経済」になる可能性をもつ。

講師プロフィール

経歴
1989年,米国ブルックヘブン国立研究所でのクォーク・グルーオン・プラズマ生成(QCD相転移)を目指す相対論的重イオン原子核衝突実験の研究で九州大学より博士号を授与された。同年,東京大学原子核研究所の博士研究員(日本学術振興会特別研究員)として,高エネルギー物理学の研究に従事した。1990年から2010年まで,株式会社日立製作所にて研究員,主任研究員として勤務。この間,1997年にカリフォルニア大学バークレー校の客員研究員としてプラズマ計算物理学を,2010年には国際エネルギー機関(IEA)に出向しスマートグリッドなどのエネルギー政策を研究した。2011年に東京大学生産技術研究所の准教授となり,2012年からは京都大学大学院総合生存学館の教授としてデータ科学,ネットワーク科学,計算科学を駆使した分野横断研究による学術的なエビデンスに基づく政策提言に取り組んでいる。これまでに査読付き雑誌論文113本,書籍33冊を出版し,国内外で37件の特許を出願・登録している。

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