講義の概要と目的

メタバースという概念は人によって少しずつ異なる使い方をされている。本講義ではまずその輪郭を掴むため、メタバースの歴史と現在メタバースがどのようなものだと考えられているかについて概観する。その後、バーチャルイベントに特化したサービスからバーチャル空間内に住むことのできるプラットフォーム＝メタバースへと進化しつつあるClusterの取り組みも紹介しつつ、メタバースによって未来がどのように変わりうるのかについて講師のビジョンを提示する。メタバースを一過性のブームに終わらせず、本当に人類の描く夢として実現するために、今議論すべき論点を共有することが講義の目的である。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

メタバースには圧倒的な夢がある。メタバースの時代には、人が物理的束縛から解放され、より実質的・本質的（＝バーチャル）な価値を意識できるようになる。人類史的な観点から見れば、産業革命から続く「モビリティの時代」から、次の200年は「バーチャリティの時代」となるだろう。その時代に人類がめざす究極の生活スタイルがメタバースである。肉体から解放され、物質と決別した新しい世界では、身体性、コミュニケーションの在り方、都市の形など、人々の生活をとりまくあらゆるものが変わるだろう。そんな世界を見たくないですか？

講師プロフィール

経歴
京都大学理学部で、宇宙論と量子コンピュータを研究。同大学院を中退後、約3年間のひきこもり生活を過ごす。2015年にVR技術を駆使したスタートアップ「クラスター」を起業。2017年、大規模バーチャルイベントを開催することのできるVRプラットフォーム「cluster」を公開。現在はイベントだけでなく、好きなアバターで友達と集まったりオンラインゲームを投稿して遊ぶことのできるメタバースプラットフォームと進化している。2018年経済誌『ForbesJAPAN』の「世界を変える30歳未満30人の日本人」に選出。同じく2022年「日本の起業家ランキング2023」のTOP20に選出。著書に『メタバース さよならアトムの時代』（集英社/2022年）