京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

「寛容」について

ガンディーに学ぶ寛容の精神

赤松 明彦 AKAMATSU Akihiko
京都大学 名誉教授

講義概要

ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、仏教、ジャイナ教、ゾロアスター教、シク教、などなど。インドでは、様々な宗教が、ときにはぶつかり合いながらも共存してきました。ヒンドゥー至上主義が広がりを見せる現代においても、通常は平穏に共存しています。このような状況を指して、インド的な「寛容」と言われることもあります。この講義では、「寛容」とは何かということを、インドの諸宗教の歴史を踏まえた観点から考えてみたいと思います。インド独立の父と言われるガンディーは、「寛容」ということを、まずは「諸宗教の平等」ということから具体化しようとしました。それはまた、彼の実践原理であった「非暴力」とも強く結びついています。今回は、このガンディーの思想と行動を通じて、「寛容」について考えます。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

寛容でありたいと思う。不寛容であることがあたかも正義であるかのような言説が横行し、容認と排除の単純
な二項対立によってしか世界のあり方が語られないような現代において、寛容であることは如何にして可能か。不寛容の時代にあって、どうすれば寛容であり続けることができるのか。寛容であることは、社会的リーダーにとっては不可欠の徳目である。「非暴力」の抵抗運動によって人々を動かし、イギリスからの独立を実現したガンディーは、そのような寛容の精神を体現した社会的リーダーの代表と言ってもよいだろう。ガンディーの思想と実践を、彼の実際の言葉と行動の中に見ながら、「寛容の精神」について考えることは、様々な暴力が横行する現代世界を生きる私たちにとって、それを乗り越えるテクニックを学ぶことにもなるだろう。

講師プロフィール

経歴

1953年京都府宇治市生まれ。1972年京都大学文学部哲学科入学。1981年、フランス政府給費留学生として京都大学大学院文学研究科からパリ第3大学第3期博士課程に留学し、1983年に同大学でインド学における博士号を取得した。帰国後、京都大学人文科学研究所助手を経て、1987年から九州大学文学研究科助教授、同教授。2001年~2018年京都大学大学院文学研究科教授。その間、2010年4月~10月文学研究科長・学部長。同年10月~2014年9月京都大学理事・副学長(学生担当)。2018年3月定年退職。同年4月~2023年3月京都大学白眉センター長。京都大学名誉教授。

著書

『ヒンドゥー教10講』岩波新書(2021年)、『インド哲学10講』岩波新書(2018年)、『バガヴァッド・ギーター:神に人の苦悩は理解できるのか? (書物誕生―あたらしい古典入門)』岩波書店(2008年)、『楼蘭王国:ロプ・ノール湖畔の四千年』中公新書(2005年)。サンスクリット原典からの翻訳書として、『古典インドの言語哲学 1、2』東洋文庫(1998年)など多数。

  • Document request

    プログラムの受講に関するお問い合わせ、
    資料請求はお気軽にご連絡ください。

  • Mail magazine

    最新情報のお知らせや無料イベントのご案内をしております。ご興味のある方は是非、ご登録ください。

  • Contact

    ご相談やご質問など、お気軽にお問い合わせください。