
芦名 定道
ASHINA Sadamichi
関西学院大学神学部 客員教授
京都大学 名誉教授
講義概要
環境危機の解決は現代世界が直面する深刻かつ緊急の課題であり、理系から文系に至るまで多くの学問が関わりを持っている。宗教研究においても環境は重要テーマである。たとえば、キリスト教思想研究では、環境の神学(エコロジーの神学)は世界的に現在もっとも研究がなされている分野の一つであり、今回の講義ではキリスト教思想における環境の神学(特に世代間倫理との関連)を取り上げてみたい。キリスト教思想研究において環境危機が重要なテーマになったことには、キリスト教思想の側の事情にも基づいている。それは、聖書の創造物語と環境危機の関連性という問いが環境の神学の開始を促したということである。こうして開始された環境の神学からその後どのような議論が展開され、そこから何がわかるだろうか。
世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか
環境危機は、現代を生きるわたしたち全員が共有する課題であり、大学も企業も、一般の市民社会も、そして宗教界も、無関係な者は一人もいない。とすれば、ある分野で展開された議論がほかの分野にとっても何か重要な示唆を与えるものとなるのではないだろうか。場合によっては、特定の分野に取ってだけではなく、この社会全体に重要な意味をもつものとなるかもしれない。キリスト教思想における「環境の神学」から環境を考えるヒントを得ることができるならば、それは社会的インパクトを与えるものとなるだろう。キーワードは、世代、家族。
講師プロフィール
経歴
1956年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程(キリスト教学)単位取得退学。京都大学博士(文学)。京都大学大学院文学研究科教授(キリスト教学担当)を経て、関西学院大学神学部教授。2025年3月31日で、関西学院大学を退職し、4月からは客員教授。
著書
『東アジア・キリスト教の現在』三恵社(2018年)、『現代神学の冒険』新教出版社(2020年)、『脳科学とキリスト教思想』三恵社(2022年)など。