京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

フュージョンエネルギー イノベーションと持続可能性

民間主導のフュージョン開発を 展望し、その影響を考察する

小西 哲之 KONISHI Satoshi
京都フュージョニアリング
代表取締役CEO 兼 Chief Fusioneer

講義概要

エネルギーは、資源問題から持続可能性問題へと重心が移った。フュージョンエネルギーは化石資源に代わる新たな候補として、世界的に民間が産業化を目指した開発競争に突入している。20世紀型の官主導の研究開発から、民間スタートアップがリスクを取ってイノベーションを達成する時代に入った世界で、わが国は方向感を見失っている。重要なのはサプライチェーン構築であり、我が国も新産業創生の機会であると同時に世界市場では厳しい競争に直面している。本講義はこの新たなフュージョンエネルギー開発競争の構造を提示し、我が国の勝ち筋と、それが人類の持続可能な未来にどうつながりうるか、を受講生とともに考察することを目的とする。

世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

科学技術は、新発見や発明自体が直ちに世の中を変えるのではなく、社会構造の変化、例えば新産業の創生に至って初めて人類社会に影響を与える。公的予算による官主導の研究開発の時代は終わり、今やイノベーションは果敢にリスクをとるスタートアップ企業によって起こされ、それを産業化した国や企業が市場の主導権を握る。本講義は新たなエネルギー源と期待されるフュージョン(核融合)開発と民間主体の産業化競争の現状を紹介するとともに、それがどのようなインパクトを起こすのか、エネルギー技術と産業の固有の構造とダイナミズムを分析する。しかしエネルギーは、必ずしも人類の持続可能性を保証するとは限らない。学際的俯瞰的視点で聴講生と考えていきたい。

講師プロフィール

経歴

1979年東京大学工学部卒、81年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。東京大学博士(工学)。1981年、日本原子力研究所に入所。同研究所主任研究員及び室長。2003年より京都大学エネルギー理工学研究所教授。2008~2012年8部局による京都大学生存基盤科学研究ユニット長併任。核融合炉工学、炉設計研究に従事し、国際熱核融合実験炉(ITER)理事会のテストブランケット計画委員会(TMB-PC)議長(2009~2012)及び日本政府代表委員。原子力学会理事。専門はエネルギーシステム評価、サステイナビリティ学。核融合、先進原子力等のエネルギーシステムの工学、安全性、環境影響、社会経済評価研究。京大生存基盤科学研究ユニットでは地球環境問題や人類の持続可能な発展を考える学際領域「サステイナビリティ学」学際研究に従事。2019年学内発企業「京都フュージョニアリング株式会社」創業、2023年よりCEO。内閣府「イノベーション政策強化推進のための有識者会議『核融合戦略』」委員。

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