第6期受講生インタビュー〈7〉 | 京都大学ELP
京都大学エグゼクティブリーダーシッププログラム

第6期受講生インタビュー〈7〉

2021年12月4日

金融コンサルティング会社 代表

 

粟野:特に印象に残った講義を教えてください。

受講生:どれもよかったので迷いますね。前期は小倉紀蔵先生と杭迫柏樹先生の組み合わせが神回でした。藤田正勝先生の哲学もよかったです。後期では西平直先生の『稽古の思想』でしょうか。

芸術では、前から直接お話をお聞きしたかった樂直入先生平川佳世先生の講義もよかったです。いずれも課題図書を読んだり講義を聞いたりして、すぐに納得できた講義より、少しもやもやしたものが残る講義の方が後から考えるきっかけになりました。

杭迫柏樹先生は、書に対する姿勢や構えが素晴らしいです。今でも早朝に起きて書の勉強をして臨書をされているとのこと。「これが遺作になってもいいと思える作品を」と思って一枚一枚丁寧に書く姿、書の道は「無窮」と言い切るところに感銘を受けました。まさに「書はその人の如し」なのだと思います。

また、ELPの講義を通じ、なぜ日本は理論に基づいて社会モデルが作れないのだろうとか、なぜリスク管理を怠って対策が後手に回るのだろうという疑問があったのですが、小倉先生の講義『第3の生命論』を聞いて少し疑問が解けた気がします。第3の生命をもつ日本という群島文明の中での帰納主義的な考え方や世界観などの背景を含めて、理解をするきっかけになりました。人と人の間に立ち現れる「第3の生命」というワードはそのあと受講生の間でかなり流行りました(笑)。

粟野:ELPのプログラム全体はいかがでしたか。

受講生:自ら問いを立てて思索する、そうすることで自分なりの軸を持つ手助けになるプログラムだと思います。私は文系なのですが、人文的な思考に加えて科学的な思考も持たなければならないと感じました。

例えば原発の講義がありましたが、そういった問題はどうしても感情的に短期的に捉えられがちです。しかし、空間的にも時間的にも軸を長く持たなければならない、エビデンスも含めて科学的な思考も組み合わせて考えなければならないと思いました。

粟野:お仕事や人生にどのように活かすことができるでしょうか。

受講生:ノウハウではないので、すぐに何かに役立つものではないと思います。その点は藤田先生の哲学の講義で「ゴールや正解はない」というお話を聞いてすっきりしました。人生や仕事において、一朝一夕に解決ができない課題がたくさんある中で、諦めずに考え続けることが大事なのだ、と。

仕事では完璧なものを求めて、ついマイナス面を見てしまいがちですが、例え時間がかかっても、プラスの方向に進むにはどうすればいいかを考え、努力していくことが必要なのだと思いました。

粟野:これから受講される方へのメッセージをお願いします。

受講生:無駄の中にこそ、新しい種や着想を得ることができます。ELPはまさにそれができる場です。ぜひ参加して私のように”もやもや“しながらも考えるきっかけにしてほしいと思います。

趙亮先生が、「学習+乱択」の効果についてお話されていましたが、ELPはまさに乱択なのだと思います。私も思考の枠や癖があるので、(自分で選択すると)読みたい本や受けたい講義は偏ってしまいますが、ELPではランダムに選択された講義を受けるのでその枠を外すことができます。

平川先生も先が見えない今だからこそ試行錯誤を許容する社会を、とおっしゃっていました。若干の「あそび」のある人生の方が楽しいと思います。ELPには芸術の講義もあり、中にはそれを無駄と考える人がいるかもしれませんが、むしろその中にこそ本質的な問いが隠れていると思います。

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