何を食べるかが未来を創る
食農をめぐる環境変化と私たちの選択

2022.2.4.Fri. 11:00-13:40

京都⼤学⼤学院農学研究科⽣物資源経済学専攻 教授

秋津元輝

講義の概要と目的

現代の食は生産から消費までの距離が長大化し、農業はその後の加工に供される原料生産の役割へと変貌している。しかし、その終点となる消費がなければこの連鎖は動かず、したがって私たちが何を選択して食べるのかが、現代と未来の食のあり方を決定することになる。とりわけ、環境問題が切迫する現代にあって、人間の生存に不可欠となる食をいかに少ない負荷で生産し調達するかも課題である。そうした総体的な状況を歴史的な視点も含めて概観した上で、未来に向けた食と農のあり方をどのように構想するのか。技術開発による解決に依存してしまうのではなく、構想の決定に社会としてどのように関与していくかが問われており、食と農から社会全体に広がる意思決定システムの議論へと展開する。

この研究が世の中をどのように変えるのか、どんなインパクトがあるのか

この研究の究極的な目標は、持続可能な社会の実現にある。食と農は人間の生存にとって不可欠であることから、その目標への影響は大きい。食と農に限らず持続可能なシステムについては、今後開発される技術がどのように社会に埋め込まれていくかが焦点となり、それを公正な視点から制御していく意思決定システムの構築が必要となる。その決定権を経済的関係にのみ委ねるのではなく、多様な主体=ステークホルダーの参加が可能となる体制を構想することによって、与えられた状況にたんに適応するのではなく、自らの手で未来をつくる感覚をもてる社会体制を整える。これは食と農という人間の基本から出発した未来社会創造へとつながる。

講師プロフィール

1960年香川県生まれ。京都大学大学院農学研究科博士後期課程指導認定。博士(農学)。三重大学助手、奈良女子大学助教授などをへて、現在、京都大学教授(農学研究科農学原論分野)。食農社会学・食農倫理論専攻。日本農村社会の基礎的研究から出発して、しだいに環境やジェンダー、移住などの社会課題に対応した農山村社会研究に重心を移し、さらにアフリカ、アジア、欧州などの海外農村でも調査研究を実施。自然のリズムとともに生きる農業と農村への愛を基礎に、それを守り再評価するには、都市における食消費からの支えが不可欠であることを悟り、食や倫理、食農政策へと研究関心を広げる。日本村落研究学会会長、アジア農村社会学会会長を歴任。教科書としたもののほか、近著に、『食と農の社会学』(共著、ミネルヴァ書房、2014)『せめぎ合う親密と公共−中間圏というアリーナ』(共編著、京都大学学術出版会、2017)、『小農の復権』(編著、農山漁村文化協会、2019)、など。

Day12022.2.4 Fri.
人類にとっての食

Day22022.2.5 Sat.
食の安全保障 食と農のテクノロジー1

Day32022.2.12 Sat.
食と農のテクノロジー2

Day42022.2.13 Sun.
食と農の未来

Day52022.4.9 Sat.

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